SecretClass

(すきですかのなんだいにえがおでかえすしかできない)

「好きですか」の難題に、笑顔で返すしかできない。

(まるであくまにからかわれたように)

まるで悪魔にからかわれたように、

(わたしのこたえをきみはまっている)

私の答案[こたえ]を君は待っている。

(ほうかごのきょうしつにきみだけをのこすじかんがすき)

放課後の教室に、君だけを残す時間が好き。

(ふたりきりになってもゆるされるわけになるでしょねぇ)

ふたりきりになっても許される理由[わけ]になるでしょ、ねぇ。

(きっとあのこのようにとなりをあるけないのは)

きっと女生徒[あのこ]のように隣を歩けないのは、

(まつせいふくにゆれるはくい)

待つ制服に、揺れる白衣。

(それがふたりのきょりだから)

それがふたりの距離だから。

(あつくなるほどおさないこころがばれちゃわないように)

熱くなるほど幼女[おさな]い心がばれちゃわないように、

(きみにとってのおとなになるふりしてになうひみつのくらす)

君にとっての先生[おとな]になるフリして担う、秘密のクラス。

(すきですかのなんだいにえがおでかえすしかできない)

「好きですか」の難題に、笑顔で返すしかできない。

(まるであくまにからかわれたように)

まるで悪魔にからかわれたように、

(わたしのこたえをきみはまっている)

私の答案[こたえ]を君は待っている。

(あわいこいでしたってあるばむにしてあげたほうがいい)

淡い恋でした、ってアルバムにしてあげた方がいい。

(おわりをつぐちゃいむがいつなるかそれがたまらなくこわい)

終わりを告ぐチャイムがいつ鳴るか、それがたまらなく怖い。

(きっとあのこのほうがきみにおにあいだよなんて)

きっと女生徒[あのこ]の方が君にお似合いだよなんて、

(さるせいふくとゆれるはくい)

去る制服と、揺れる白衣。

(ふとしたことばもきずつけてしまう)

ふとした言葉も傷つけてしまう。

(うしなうものがなにもないむじゃきなめでくるしめないで)

失うものが何もない無邪気な眼で苦しめないで。

(きみのてすとにおとなさえもこたえられないことばにつまる)

君のテストに先生[おとな]さえも応えられない、言葉に詰まる。

(すきだよとぜんぶすててだきよせてしまいたいのに)

「好きだよ」と全部棄てて、抱き寄せてしまいたいのに。

(そんなつよいこころじゃいられない)

そんな強い心じゃいられない。

(わたしのこたえにばつをつけて)

私の答案[こたえ]に罰を付けて。

(これでいいきみのためにそうきめたのに)

これでいい。君のために。そう決めたのに。

(さるせいふくへなびくはくい)

去る制服へ、靡く白衣。

(おもわずきみをひきとめる)

思わず君を引き止める。

(すきですかのなんだいにゆるされないこたえをかいた)

「好きですか」の難題に、許されない答案[こたえ]を書いた。

(きみのあしたをしばるだけのひとりよがりなこいのやくそく)

君の将来[あした]を縛るだけの独り善がりな、恋の約束。

(ただきみのかなしむかおをもうみおくらなくていいなら)

ただ君の悲しむ顔を、もう見送らなくていいなら、

(たとえあくまとよばれてもいい)

たとえ悪魔と呼ばれてもいい。

(あまくとろけるようなひとときをあなたに)

甘くとろけるようなひとときをあなたに。