煙

(「わたしたちね、もうおとなだからねすきなだけじゃいっしょに)

「私達ね、もう大人だからね好きなだけじゃ一緒に

(いられないのはもうわかっているよね？)

いられないのはもうわかっているよね？

(それじゃあまたね？」)

それじゃあまたね？」

(なんてずるいいいかたしなくたって)

なんてずるい言い方しなくたって

(きみいがいうつらないのに)

君以外うつらないのに

(つかわれなくなったしろいはいひーるも)

使われなくなった白いハイヒールも

(ひにひにへったやすみのひのがいしゅつも)

日に日に減った休みの日の外出も

(おさえきれなくなったひびのきゅうくつさや)

抑えきれなくなった日々の窮屈さや

(ふまんをかぞえればきりがないよな)

不満を数えればキリがないよな

(すきじゃなくなったら、すぐにいってね)

好きじゃなくなったら、すぐに言ってね

(なんてじょうだんはんぶんで、いうんじゃなかったなぁ)

なんて冗談半分で、言うんじゃなかったなぁ

(はしってはしってはしってたちどまって)

走って　走って　走って　立ち止まって

(みわたせばここがどこだかわからなくなった)

見渡せばここがどこだかわからなくなった

(なにがしたいかわからなくなったんだ)

何がしたいかわからなくなったんだ

(はなったことばけむりになってけしかけた)

放った　言葉　煙になって　嗾けた

(あのひのきみのめはちゅうにおよいだ)

あの日の君の目は宙に泳いだ

(「わたしたちね、もうおとなだからねすきなだけじゃいっしょに)

「私達ね、もう大人だからね好きなだけじゃ一緒に

(いられないの」って？ちょっとまって)

いられないの」って？ちょっと待って

(そのひとみにはもうぼくはうつっていないんでしょう？)

その瞳にはもう僕は写っていないんでしょう？

(きっと、ずっとわかってたよ)

きっと、　ずっと　わかってたよ

(うだうだすごしたあのひびが)

うだうだ過ごしたあの日々が

(むだになるきがした)

無駄になる気がした

(やだやだこのまましらないふりでとおせば)

ヤダヤダこのまま知らないフリで通せば

(きみとまたわらえたかな)

君とまた笑えたかな

(はしってはしってはしってたちどまって)

走って　走って　走って　立ち止まって

(みわたせばここがどこだかわからなくなった)

見渡せばここがどこだかわからなくなった

(なにがしたいかわからなくなったんだ)

何がしたいかわからなくなったんだ

(はなったことばけむりになってけしかけた)

放った言葉　煙になって　嗾けた

(あのひのぼくのてはちゅうをおよいだ)

あの日の僕の手は中を泳いだ

(みえすいたうそまで)

見えすいた嘘まで

(はかせているようじゃなぁ)

吐かせているようじゃなぁ

(うたがってしまうよなぁ)

疑ってしまうよなぁ

(つよがっていった「じゃあねばいばい」)

強がっていった「じゃあねバイバイ」

(すぎさっていったまってまって)

過ぎ去っていった　待って待って

(いまぼくもまえに)

今僕も前に

(きみがよこにいなくなっただけ)

君が横にいなくなっただけ

(ただそれだけだろう？)

ただそれだけだろう？

(はしってはしってはしってたちどまって)

走って　走って　走って　立ち止まって

(みわたせばここがどこだかわからなくなった)

見渡せばここがどこだかわからなくなった

(なにがしたいかわからなくなったんだ)

何がしたいかわからなくなったんだ

(はなったことばけむりになってけしかけた)

放った　言葉　煙になって　嗾けた

(あのひのきみのせはあおくそまってきえていった)

あの日の君の背は青く染まって消えていった

(むりょくにのばしたてしずかにしまった)

無力に伸ばした手　静かにしまった