運命

(ぐうぜんだったさいごであのひとおなじふく)

偶然だった　最後であの日と同じ服

(ぼくはおくれていった)

僕は遅れて行った

(みなれないみじかいかみだった)

見慣れない短い髪だった

(きまずくてこーひーでながしこんだ)

気不味くて珈琲で流し込んだ

(でもなぜかあじがしなかった)

でもなぜか味がしなかった

(ちんもくがつづいてた)

沈黙が続いてた

(そのしゅんかんぼくはさとった)

その瞬間　僕は悟った

(きっとおわりだった)

きっと終わりだった

(ずっとわかっていた)

ずっとわかっていた

(もうなにもいわなかった)

もう何も言わなかった

(ずっとどなっていた)

ずっと怒鳴っていた

(じっとにらんでいた)

じっと睨んでいた

(でもきみはなかなかったどうして)

でも君は泣かなかった　どうして

(おわりだけわかってしまうんだよ)

終わりだけわかってしまうんだよ

(たちあがるぼくのてをつかんで)

立ち上がる僕の手を掴んで

(そのひょうしにぐらすがおちた)

その拍子にグラスが落ちた

(たったすうびょうがながすぎて)

たった数秒が長すぎて

(たったひとこともいえなくて)

たった一言も言えなくて

(ぐうぜんかひつぜんか)

偶然か　必然か

(どちらでもいいただ)

どちらでもいい　ただ

(このえんがはへんが)

この縁が　破片が

(いまきえるのをまっていた)

今消えるのを待っていた

(ゆびにふれるだけで)

指に触れるだけで

(むねがたかなってた)

胸が高鳴ってた

(そんなふたりはいつがさいごだったろう)

そんな二人はいつが最後だったろう

(いまはふれるだけで)

今は触れるだけで

(いたむほどにひどくはれていた)

痛むほどにひどく腫れていた

(そしてぼくはそっとめをそらして)

そして僕はそっと目を逸らして

(きっとおわりだった)

きっと終わりだった

(ずっとわかっていた)

ずっとわかっていた

(ついにえんどろーるだった)

ついにエンドロールだった

(ぼくはみせをでると)

僕は店を出ると

(もうふりかえるはずもなかった)

もう振り返るはずもなかった

(すぐになくきみがきらいだった)

すぐになく君が嫌いだった

(さいごのさいごでほんとうはねききたかったよ)

最後の最後で本当はね　聞きたかったよ

(がらすのはへんをひろいながら)

硝子の破片を拾いながら

(ゆかをふくきみのてにめをうたがった)

床を拭く君の手に目を疑った

(どうしてゆびわ、はずしてなかったの？)

どうして指輪、外してなかったの？

(ひつぜんだった)

必然だった

(いつでもおわりはなにかのはじまりへ)

いつでも終わりは何かの始まりへ