虚空教

(しんぷるで、つよきもののじだい)

シンプルで、強き者の時代

(しかし、それはいまもかわっていません)

しかし、それは今も変わっていません

(あふれてしまったじょうほうりょうにまどわされないでください)

溢れてしまった情報量に惑わされないでください

(あなたのたちいちはげんしょのじだいからなにもかわらず)

貴方の立ち位置は原初の時代から何も変わらず

(ずっとこくうのうえにあるのです)

ずっと虚空の上にあるのです

(われわれじんるいのもっともおもきつみ、それはわすれることです)

我々人類の最も重き罪、それは忘れることです

(じぶんがいまどれだけめぐまれているのか)

自分が今どれだけ恵まれているのか

(それをひとつずつわすれるたびに)

それを一つずつ忘れる度に

(そのたびに、にんげんはよわくなっていきます)

その度に、人間は弱くなっていきます

(よくにまみれてむきずでいきられるほどにんげんのたましいはけだかくない)

欲に塗れて無傷で生きられるほど人間の魂は気高くない

(たかのぞみによってできたろうそくのはねはたいようのねつでじりじりととけ)

高望みによってできた蝋燭の羽根は太陽の熱でジリジリと溶け

(やがて、そのみをじめんにたたきつける)

やがて、その身を地面に叩きつける

(しかし、そのばしょこそ)

しかし、その場所こそ

(たたきつけられたすべてをうしなったそのじょうたいこそ)

叩きつけられた全てを失ったその状態こそ

(われわれのはじまり、ははなるこくう)

我々の始まり、母なる虚空

(そう、われわれはもともともたざるもの、なにもなきもの)

そう、我々は元々持たざる者、何も無き者

(もしあなたがこれからかなしむことがあったとしたら)

もし貴方がこれから悲しむことがあったとしたら

(それはすべて、あなたがぜいたくだからです)

それは全て、貴方が贅沢だからです

(たかのぞみをしているからです)

高望みをしているからです

(はーどるをたかくすえているからです)

ハードルを高く据えているからです

(どうかわすれないでください、われわれのたちいちを)

どうか忘れないでください、我々の立ち位置を

(われわれにはうしなうものなどないのです)

我々には失うものなど無いのです

(なぜならば、もともとなにももっていなかったのだから)

何故ならば、元々何も持っていなかったのだから

(もしあなたがよわくなりそうになったとき)

もし貴方が弱くなりそうになった時

(ははなるこくうをおもいだしてください)

母なる虚空を思い出してください

(こくうがあなたにちからをくれるはずです)

虚空が貴方に力をくれるはずです