パラノイド虚構劇／うらたぬき

(うそつきなゆびさきでかきみだしたあかいいと)

嘘つきな指先で 掻き乱した赤い糸

(ならべたてたえごにとりとめないあいをうたっていて)

並べ立てたエゴに取り留めない愛を歌っていて

(おしつけあうりそうもたらしこんだげんじつも)

押し付け合う理想も 誑し込んだ現実も

(つきはあとらんだむやがてくるいだす)

ツキはアトランダム やがて狂い出す

(かんきゃくもまばらなかんさんなげきじょうで)

観客も疎らな閑散な劇場で

(ろくでもないぐしゃをえんじる)

ろくでもない愚者を演じる

(そのすくいのないゆめにおぼれて)

その救いのない夢に溺れて

(ほらおちてゆこうぱらのいどのふかくふかくへ)

ほら落ちてゆこうパラノイドの深く深くへ

(ああだれにもみえないようにきずをつけてあげる)

嗚呼 誰にも視えないように傷を付けてあげる

(つみなきみのめでばつをもとめひざまずいてよ)

罪なキミの眼で罰を求め跪いてよ

(ああかみさまさえもあざむいて)

嗚呼 神様さえも欺いて

(きんじられたあまいかじつをかじろうか)

禁じられた甘い果実を齧ろうか

(のどかえるどくのあじしびれだすにまいのした)

咽返る毒の味 痺れだす二枚の舌

(あじけのないよくとあいをかいこんで)

味気のない欲と愛を買い込んで

(ひとはひとゆえにみにくいとそれにあまんじてくさりちていく)

人は人故に醜いと それに甘んじて腐ちていく

(だれもおまえなどみちゃいない)

誰もオマエなど見ちゃいない

(ほんとうのおまえをみちゃいないんだよ)

本当のオマエを見ちゃいないんだよ

(ほらおちてゆこうぱらのいどのふかくふかくへ)

ほら落ちてゆこうパラノイドの深く深くへ

(ああゆめみがちなそのえみをゆがませてみたい)

嗚呼 夢見がちなその笑みを 歪ませてみたい

(つぎはぎのちかいしれたあいをむさぼりあおうか)

継ぎ接ぎの誓い 痴れた愛を貪り合おうか

(ああうそだらけのこのせかいでほんとうのこえをもとめてさまよって)

嗚呼 嘘だらけのこの世界で本当の声を求めて彷徨って

(たんせいなことばもこんとんなかんじょうもまじりあいただれゆくから)

端正な言葉も渾沌な感情も 混じり合い爛れゆくから

(このあまいあまいみつをのみこんで)

この甘い甘い蜜を呑み込んで

(ほらあいもりそうもすくいもないぼくをわらえよ)

ほら愛も理想も救いもない僕を嗤えよ

(ああたやすくないいえないようにきずをこじあけて)

嗚呼 容易くない癒えないように傷をこじ開けて

(うらもおもてにもせいかいはないそんなせかいだ)

裏も表にも正解はない そんな世界だ

(ああにえきらないおもいはすてて)

嗚呼 煮え切らない思いは捨てて

(もうくたばるまではいずっていこうぜ)

もうくたばるまで這いずって行こうぜ

(うるさいほどのかっさいをくださいな)

煩いほどの喝采をくださいな