アンサンブル vistlip

(やまないね)

「止まないね...」

(そとはひどいあめ)

外は酷い雨。

(やくそくをしたね)

約束をしたね。

(きみがやどるかさになりたいよと)

君が宿る傘になりたいよと。

(あなだらけにされあまもりのひどいぼろがさだけど)

穴だらけにされ雨漏りの酷いボロ傘だけど。

(しとしとまちはおとをかなできみのいきづかいすらもあんさんぶるに)

シトシト町は音を奏で、君の息遣いすらもアンサンブルに。

(ぼくはふたりをてーまにかきおろしさじょうのろうかくとなづけた)

僕は2人をテーマに書き下ろし、"砂上の楼閣"と名付けた。

(よごれたゆびでうちこんだのはけっさくとはいいがたいちせつなことば)

汚れた指で打ち込んだのは傑作とは云い難い稚拙な詞。

(こんなぼくからかけられるのはいっぽうてきならぶそんぐしかない)

こんな僕からかけられるのは一方的なラブソングしかない。

(どしゃぶりになるよ)

「土砂降りになるよ」

(やさしさとみせかけたわるいうそ)

優しさと見せ掛けた悪い嘘。

(むじゃきなじゃきがきみをとじこめろとささやくんだよ)

無邪気な邪気が君を閉じ込めろと囁くんだよ。

(しとしとまちはおとをかなできみのいきづかいすらもあんさんぶるに)

シトシト街は音を奏で、君の息遣いすらもアンサンブルに。

(まるでばらーどをくちずさんでいるみたい)

まるでバラードを口ずさんでいるみたい。

(それはそれはきれいでみとれた)

それはそれは綺麗で見惚れた。

(よごれたゆびでよごさないようにふれそうでふれないきょりをたもった)

汚れた指で汚さない様に触れそうで触れない距離を保った。

(はみだすかたをぬらしてるのはこのあめのせいだけじゃない)

はみ出す肩を濡らしてるのはこの雨のせいだけじゃない。

(とどかない)

届かない。

(やまないで)

止まないで...。

(ぼくはねがう)

僕は願う。

(そんなひどいことをねがう)

そんな酷い事を願う。

(ああかみさまばつをくだしてほしい)

嗚呼神様、罰を下して欲しい。

(さぁきれいなにじをそらにかけて)

-さぁ、綺麗な虹を空に架けて-

(よごれたゆびでうちこんだのはあとすこしだけきみといたいな)

汚れた指で打ち込んだのは"あと少しだけ君と居たいな"。

(こんなぼくからかけられるのはいっぽうてきならぶそんぐしかない)

こんな僕からかけられるのは一方的なラブソングしかない。

(おれるまでうたう)

折れるまで唄う。

(あぁだめだもうなきそうだ)

あぁ、ダメだ、もう泣きそうだ。

(おれるまで)

折れるまで...。

(にじがかかってしずかにいきをひきとる)

虹が架かって静かに息を引き取る。

(やまないね)

-------止まないね...

(そとはひどいせいてん)

外は酷い晴天。