グロリア

(わかった)

"わかった"

(たったいま、りかいをなしたところで)

たった現在、理解を爲したところで

(おそいが。そろそろゆうしょくにしようか。)

遅いが。そろそろ夕餐にしようか。

(どうだい)

"如何だい"

(さっきからあなたがほおばっているものは)

先程から貴方が頬張っているものは

(わたしといってさしつかえのしないものだ)

わたしと言って差支えのしない物だ

(まちがっているとおもわない、かい。)

間違っているとおもわない、かい。

(「しぬこと」こそが、なによりもこわいの)

「死ぬこと」こそが、何撚も怖いの

(ならばぼくがてをかけてあげようか)

ならば僕が手を掛けて擧げようか?

(ちなみにちったはなびらはもどらないらしい)

因みに散った花辨は戻らないらしい

(しい、しい、しいてきにならないで。)

思惟、私意、恣意的にならないで。

(いたみやくるしさやきょうきでは)

傷みや苦しさや狂気では

(だれもすくえないけれど、しにたい？)

誰も救えないけれど、死にたい?

(あきらめなげすてたあなたのめをえぐる)

諦め投棄てた貴方の目を剔ル

(なにもみえないように)

何も視えないように

(「どうせならば、めちゃくちゃにしたい」)

「到底ならば、滅茶苦茶にしたい」

(いったい、どこににげられるとおもうの？)

一体、何處に逃げられると思うの?

(ねえ、なぜぼくのてをとってくれるの)

ねえ、何故僕の手を奪ってくれるの

(このまま、つかまってしまうみらいしかみえないけれど)

此儘、捕まって失策う未来しか見えないけれど

(しかとにげられないよ、きっと)

確と逃げれないよ、屹度

(あじのないびょうしつをぬけだして)

味の亡い病室を抜け出して

(めいじつともにきょうはんになろう)

名實ともに共犯になろう

(うしなうことすらもいとおしく、しく)

失うことすらも愛惜しく、頻く

(とがめられてしまうような)

咎められてしまうような

(むくないたずらをしよう？)

無垢な悪戯をしよう?

(むせいのぱとかーにおびえくらすせいかつも)

無聲の巡回車に怯え暮らす生活も

(あなたとなら、いっそう、おくりたい。)

貴方となら、一層、送りたい。

(なにひとつとして、いとわない)

なにひとつとして、いとわない