三日月と踏切の歌

(あじさいのはなさいてはじけた)

紫陽花の花 咲いて弾けた

(かぜにまいちるむしのぬけがら)

風に舞い散る虫の抜け殻

(ふみきりのまえいこかもどろか)

踏切の前 行こか戻ろか

(やがてひはおち)

やがて日は落ち

(ここはまっくらさ)

此処は真っ暗さ

(あのひとおなじかげろうがゆれる)

あの日と同じ陽炎が揺れる

(かさぶただらけしろいりょうあし)

瘡蓋だらけ 白い両足

(ぼくをおいこしていくひこうきぐも)

僕を追い越して行く飛行機雲

(こきょうのそらをきりさいてくれ)

故郷の空を切り裂いてくれ

(ひめごとをわかちあうように)

秘め事を分かち合う様に

(ぼくらはちぎった)

僕らは契った

(なつかしくかくもかなしい)

懐かしく、かくも悲しい

(まぼろしのように)

まぼろしの様に

(どうやっていきていいのかわからぬきみとぼくが)

どうやって生きていいのかわからぬ君と僕が

(すろーもーしょんでまわる)

スローモーションで廻る

(みかづきとふみきりのうた)

三日月と踏切の歌

(かんかんとなくよるのうた)

カンカンと鳴く夜の歌

(てがかりはつきあかりだけ)

手掛かりは月明かりだけ

(ぼくをにらむつきあかりだけ)

僕を睨む月明かりだけ

(ありしひのぜつえんのうた)

在りし日の絶縁の歌

(こりつむえんのよるのうた)

孤立無援の夜の歌

(かえりたいけどかえれない)

帰りたいけど帰れない

(よるをぬけるしかみちはない)

夜を抜けるしか道はない

(きみはみかづきぼくをみおろす)

君は三日月 僕を見下ろす

(あおじろきよるかぜのずいに)

蒼白き夜 風の随に

(ぼくはふみきりきみをみあげる)

僕は踏切 君を見上げる

(かつておのれをとうたすがたで)

かつて己を問うた姿で

(つきあかりすべてをてらせ)

月明かり すべてを照らせ

(このよのすべてを)

この世のすべてを

(きたないもきれいもぜんぶ)

「汚い」も「綺麗」も全部

(てらしてしまえ)

照らしてしまえ

(いかないでくれ)

行かないでくれ

(ああどうかぼくもつれてってくれないか)

嗚呼どうか僕も連れてってくれないか

(しゃだんきはなきやまない)

遮断機は鳴き止まない

(みかづきとふみきりのうた)

三日月と踏切の歌

(ゆくえしれずのよるのうた)

行方知れずの夜の歌

(じゅんすいとこどくがいつか)

純粋と孤独がいつか

(せなかあわせにうたううた)

背中合わせに歌う歌

(さいあいのてんめつのうた)

最愛の点滅の歌

(ほねをさらしたよるのうた)

骨を晒した夜の歌

(わすれたいわすれられない)

忘れたい 忘れられない

(つきをにらむしかすべはない)

月を睨むしかすべはない

(みかづきとふみきりのうた)

三日月と踏切の歌

(かんかんとなくよるのうた)

カンカンと鳴く夜の歌

(てがかりはつきあかりだけ)

手掛かりは月明かりだけ

(いのりにもにたひかりだけ)

祈りにも似た光だけ

(ありしひのぜつえんのうた)

在りし日の絶縁の歌

(こりつむえんのよるのうた)

孤立無援の夜の歌

(かえりたいけどかえれない)

帰りたいけど帰れない

(よるをぬけるしかみちはない)

夜を抜けるしか道はない

(みかづきとふみきりのうた)

三日月と踏切の歌