penguin's detour

(すっかりのりなれたふらいとで)

すっかり乗り慣れたフライトで

(きょうこそおちてくれないだろうかと ほおづえついてくもをながめるはなしをあとなんどしよう)

今日こそ墜ちてくれないだろうかと 頬杖ついて雲を眺める話をあと何度しよう

(だれかをいいまかすためのきかいを なにかにつけねらっていたくらしも)

誰かを言い負かす為の機会を 何かにつけ狙っていた暮らしも

(いまだにふるくなっちゃくれない)

未だに古くなっちゃくれない

(やさしくしてくれたあのこにまでも)

優しくしてくれたあの子にまでも

(どうせこころのなかじゃなんてことを おもってしまったのもついさいきんではあるけれど)

どうせ心の中じゃなんてことを 思ってしまったのもつい最近ではあるけれど

(こゆびにまいたばんそうこうが みえるようにとちかづいたばっかりに)

小指に巻いた絆創膏が 見えるようにと近づいたばっかりに

(ほんとうはなかったきずがほしくなる)

本当は無かった傷が欲しくなる

(しゃれっけにかけていたなまへんじを きらってくれとまではいえないけど)

洒落っけに欠けていた生返事を 嫌ってくれとまでは言えないけど

(さらっていったみらいにそうかそうかとうなずいて あるいたちじょうでのこと)

さらっていった未来にそうかそうかとうなずいて 歩いた地上でのこと

(とべないとりになっていた)

飛べない鳥になっていた

(ふらりさまよったまま)

ふらりさまよったまま

(そらからじゃみられないながめがあるんだと)

空からじゃ見られない眺めがあるんだと

(ことばへおとしこんでさいごうそにかわってもね ただそれとなくつたわるものがあればいい)

言葉へ落とし込んで最後嘘に変わってもね 唯それとなく伝わる物があればいい

(ぼんやりむずかしくおもうことも それなりにいとしくなれることを)

ぼんやり難しく思うことも それなりに愛しくなれることを

(しってかしらでかわかったふりばかりがうまいひとを)

知ってか知らでか分かったフリばかりが上手い人を

(あざけりたことはないといったものの いみもなくけらけらとわらうぼくを)

あざけりたことは無いと言ったものの 意味もなくケラケラと笑う僕を

(いいあらわせたもじがほしくなる)

言い表せた文字が欲しくなる

(だまっていればだれかがくちをひらくもの)

だまっていれば誰かが口を開くもの

(すわってまっていましょうおちゃをのみながらでも)

座って待っていましょう　お茶を飲みながらでも

(くるっちまったじだいよさらば おさきにどうぞとしずかにいったあと)

狂っちまった時代よさらば お先にどうぞと静かに言った後

(およげないさかなになっていた)

泳げない魚になっていた

(ひとりこわばったまま)

ひとりこわばったまま

(みなもにゆがんだじぶんのすがたをきおくへおとしこんで)

水面にゆがんだ自分の姿を 記憶へ落とし込んで

(だれもわるくないんだってね ただいちどだけおもわせるものがあればいい)

誰も悪くないんだってね ただ一度だけ思わせるものがあればいい

(だれのせいだろうぼくのせいかも)

誰のせいだろう　僕のせいかも

(いやきっとあいつのせいだのと)

いや きっとあいつのせいだのと

(くらくなるそとはりつめるばしょくりだすひとりぶんのおと)

暗くなる外　張り詰める場所　繰り出す一人分の音

(あなたにわからないだろうけど ことばじりにはそういいすててやろう)

あなたにわからないだろうけど 言葉尻にはそう言い捨ててやろう

(でもああもういつまでたってもすくわれないうたよ)

でも　嗚呼もう　いつまでたっても救われない歌よ

(あるはずがなくなっていた)

あるはずがなくなっていた

(ゆらりたゆたったまま)

ゆらりたゆたったまま

(よるべなくすがっていたはずだったのに)

寄る辺なく すがっていたはずだったのに

(おもいをさかのぼってみたっておもいだせないね それがはなからあったものなのかすら)

思いをさかのぼってみたって思い出せないね それが端からあった物なのかすら

(とべないとりになっていた)

飛べない鳥になっていた

(ふらりさまよったまま)

ふらりさまよったまま

(そらからじゃみられないながめがあるんだと)

空からじゃ見られない眺めがあるんだと

(ことばへおとしこんでさいごうそにかわってもね ただそれとなくつたわるものがあればいい)

言葉へ落とし込んで最後嘘に変わってもね 唯それとなく伝わる物があればいい