更級日記 門出

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投稿者投稿者大和伊織いいね0お気に入り登録
プレイ回数84難易度(2.6) 889打 かな
あづま路の
歴史的仮名遣ひで作成してゐます。
『ゐ』はwyiと入力してください。
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問題文

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(あづまぢのみちのはてよりも)

東路の道の果てよりも、

(なほおくつかたにおひいでたるひと)

なほ奥つ方に生ひ出でたる人、

(いかばかりかはあやしかりけむを)

いかばかりかはあやしかりけむを、

(いかにおもひはじめけることにか)

いかに思ひはじめけることにか、

(よのなかにものがたりといふもののあんなるを)

世の中に物語といふもののあんなるを、

(いかでみばやとおもひつつ)

いかで見ばやと思ひつつ、

(つれづれなるひるまよひいなどに)

つれづれなる昼間、宵居などに、

(あねままははなどやうのひとびとの)

姉、継母などやうの人々の、

(そのものがたりかのものがたりひかるげんじのあるやうなど)

その物語、かの物語、光源氏のあるやうなど、

(ところどころかたるをきくに)

ところどころ語るを聞くに、

(いとどゆかしさまされど)

いとどゆかしさまされど、

(わがおもふままに)

わが思ふままに、

(そらにいかでかおぼえかたらむ)

そらにいかでかおぼえ語らむ。

(いみじくこころもとなきままに)

いみじく心もとなきままに、

(とうしんにやくしほとけをつくりて)

等身に薬師仏をつくりて、

(てあらひなどして)

手洗ひなどして、

(ひとまにみそかにいりつつ)

人まにみそかに入りつつ、

(きやうにとくあげたまひて)

『京に疾く上げ給ひて、

(ものがたりのおほくさぶらふなる)

物語の多く候ふなる、

(あるかぎりみせたまへと)

ある限り見せ給へ。』と、

など

(みをすててぬかをつき)

身を捨てて額をつき、

(いのりまうすほどに、)

祈り申すほどに、

(じゅうさんになるとしのぼらむとて)

十三になる年、上らむとて、

(ながつきみかかどでして)

九月三日門出して、

(いまたちといふところにうつる)

いまたちといふ所に移る。

(ねんごろあそびなれつるところを)

年ごろ遊びなれつる所を、

(あらはにこほちちらして)

あらはにこほち散らして、

(たちさわぎてひのいりぎはの)

たち騒ぎて、日の入り際の、

(いとすごくきりわたりたるに)

いとすごく霧りわたりたるに、

(くるまにのるとてうちみやりたれば)

車に乗るとて、うち見やりたれば、

(ひとまにはまいりつつ)

人まには参りつつ、

(ぬかをつきしやくしほとけのたちたまへるを)

額をつきし薬師仏の立ち給へるを、

(みすてたてまつるかなしくて)

見捨て奉る、悲しくて、

(ひとしれずうちなかれぬ。)

人知れずうち泣かれぬ。

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