アダムとイブ　優里

(ひふかのかえりみちでしたすとれすがたまっているようだ)

皮膚科の帰り道でした　ストレスが溜まっているようだ

(はだあれのげんいんはぜんぶわたしをすてたあなたのせいかも)

肌荒れの原因は全部　私を捨てたあなたのせいかも

(あなたがよくいんすたでからんでたあのこのせいかも)

あなたがよくインスタで　絡んでたあの子のせいかも

(ひいてはあのこをそだてたおやのせいかも)

ひいてはあの子を育てた 親のせいかも

(ぜんぶぜんぶだれかのせいにしてしまえばらくなのになわたしはなにもわるくないの)

全部全部誰かのせいにしてしまえば楽なのにな　私は何も悪くないの

(そういってよそういってよ)

そう言ってよ　そう言ってよ

(あだむといぶのせいにして)

アダムとイブの所為にして

(あなたをとられるにくしみもかなしみも)

あなたを盗られる憎しみも悲しみも

(あだむといぶのせいにして)

アダムとイブの所為にして

(さいしょからさいしょから)

最初から　最初から

(ぜんぶなくなってくれよ)

全部なくなってくれよ

(なみだのかえりみちでしたげんかいがせまっているようだ)

涙の帰り道でした　限界が迫っているようだ

(だれにもあいたくないのはじぶんのせいかも)

誰にも会いたくないのは　自分の所為かも

(ぜんぶぜんぶでんしれべるにもどってしまえばいいのに)

全部全部電子レベルに戻ってしまえばいいのに

(わたしはふこうになるためにいまいきてないよいきてないよ)

私は不幸になるために今生きてないよ生きてないよ

(あだむといぶのせいにして)

アダムとイブの所為にして

(のうのすみずみまでなみだであらってよ)

脳の隅々まで涙で洗ってよ

(あだむといぶのせいにして)

アダムとイブの所為にして

(さいしょからさいしょからであわなかったことに)

最初から最初から出会わなかったことに

(ああどうしてだろうああたったひとりがいなくなるだけ)

嗚呼　どうしてだろう　嗚呼　たった一人が居なくなるだけ

(あだむといぶのせいにしただけどねなんにもかわらないまいにちだ)

アダムとイブの所為にした　だけどね何にも変わらない毎日だ

(あだむといぶのせいにしてさいしょからさいごまでじぶんのせいだったのに)

アダムとイブの所為にして最初から最後まで　自分の所為だったのに

(うけとめられないままだったりんごはりんごは)

受け止められないままだった　リンゴはリンゴは

(かじられたままだった)

齧られたままだった

(あだむといぶのせいにしてとめられなかったそれがすべてなのに)

アダムとイブの所為にして止められなかった　それがすべてなのに

(ああさいしょからさいごまでじぶんがわからなくて)

嗚呼　最初から最後まで　自分がわからなくて