文豪ストレイドッグス三巻

(むすめをぐんけいにひきわたせ)

娘を軍警に引き渡せ

(そのふこうをすべてかたがわりするかくごがおまえにあるか)

その不幸を凡て肩代わりする覚悟がお前にあるか

(すくえないものをすくってのせればともにしずむぞ)

救えない者を救って乗せれば共に沈むぞ

(でもだとしたらだざいさんはなぜぼくをたすけたんだ)

でもだとしたら太宰さんは何故僕を助けたんだ

(ああきみいたの)

ああ君いたの

(わたしのあたらしいぶかはきみなんかよりよっぽどゆうしゅうだよ)

私の新しい部下は君なんかよりよっぽど優秀だよ

(べつばら)

べつばら

(３５にんころしたわたしはいきていることがつみだから)

３５人殺した私は生きていることが罪だから

(しょけいなどせぬおまえはにんむをしおおせた)

処刑などせぬお前は任務を為果せた

(とのがたのだいすきなすじとかべきとかをひゃくねんぎろんしてきめてもよいのですけど)

殿方の大好きな筋とかべきとかを百年議論して決めても良いのですけど

(かわりにこのかたはいかが)

代わりにこの方は如何

(なかまがきゅうちたすけねばならんそれいじょうにおもいりくつがこのよにあるのか)

仲間が窮地助けねばならんそれ以上に重い理屈がこの世に有るのか

(こりゃさいこうのながめだひゃくおくのめいがにもまさるぜ)

こりゃ最高の眺めだ百億の名画にも勝るぜ

(わあくろくてちっちゃいひとがなんかしゃべってる)

わあ黒くてちっちゃい人がなんか喋ってる

(なにしろおれはてめえのもとあいぼうだからな)

何しろ俺は手前の元相棒だからな

(あのだざいがふうんとかたいでつかまるはずがねえそんなぐずならおれがとっくにころしてる)

あの太宰が不運と過怠で捕まる筈がねえそんな愚図なら俺がとっくに殺してる

(らんぽもしつつがなくしんじんをつれもどせたらほめてやる)

乱歩もし恙なく新人を連れ戻せたら褒めてやる

(きりんもおいぬればどばにおとるってかれきだいさいねんしょうかんぶさんよ)

麒麟も老いぬれば駑馬に劣るってか歴代最年少幹部さんよ

(わたしのよげんはかならずあたるしってるとおもうけど)

私の予言は必ず中る知ってると思うけど

(にどめはなくってよ)

二度目はなくってよ