猫がネズミを追いかける訳

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(むかしむかし、にんげんもうまれていない、おおむかしのあるとしのくれのことです。)

昔々、人間も生まれていない、大昔のある年の暮れの事です。

(かみさまが、どうぶつたちにいいました。)

神様が、動物たちに言いました。

(「もうすぐしょうがつだ。がんたんには、みんなわたしのところにきなさい。)

「もうすぐ正月だ。元旦には、みんな私の所に来なさい。

(そして、さきにきたものから12ばんめまでを、そのとしのたいしょうとしよう。」)

そして、先に来た者から12番目までを、その年の大将としよう。」

(ところが、うっかりもののねこはあつまるひをわすれたので、ともだちのねずみにききました。)

ところが、うっかり者の猫は集まる日を忘れたので、友達の鼠に聞きました。

(するとねずみは、「ああ、しんねんのふつかだよ」と、わざとうそをおしえました。)

すると鼠は、「ああ、新年の二日だよ」と、わざと嘘を教えました。

(さて、がんたんになりました。うしはあしがおそいので、あさはやくにいえをでました。)

さて、元旦になりました。牛は足が遅いので、朝早くに家を出ました。

(ちゃっかりもののねずみは、こっそりうしのせなかにのってかみさまのまえにくると、)

ちゃっかり者の鼠は、こっそり牛の背中に乗って神様の前に来ると、

(ぴょんととびおりていちばんさいしょにかみさまのまえにいきました。)

ピョンと飛び降りて一番最初に神様の前に行きました。

(それでねずみがさいしょのとしのたいしょうになり、うしがにばんめになりました。)

それで鼠が最初の年の大将になり、牛が二番目になりました。

(そのご、とらうたつみうまひつじとりいぬいのじゅんになりました。)

その後、寅・卯・辰・巳・午・未・酉・戌・亥の順になりました。

(ところがねこは、ねずみにおしえられたとおりふつかにかみさまのところへいきました。)

ところが猫は、鼠に教えられた通り二日に神様の所へ行きました。

(するとかみさまは、「おそかったね。ざんねんだけど、きのうきまったよ。」)

すると神様は、「遅かったね。残念だけど、昨日決まったよ。」

(と、いうではありませんか。くやしいのなんの。)

と、言うではありませんか。悔しいのなんの。

(「ねずみめ、よくもだましたな!」)

「鼠め、よくも騙したな!」

(おこったねこは、それからずっと、ねずみをおいかけるようになりました。)

怒った猫は、それからずっと、鼠を追いかける様になりました。