外郎売り・壱

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プレイ回数1741難易度(4.4) 1552打 長文
アナウンサー・声優志望の子達に勧めます。覚えましょう!
※問題文中の「とうちん~う」の「~」には「こ」が入ります※

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問題文

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(せっしゃおやかたともうすは、おたちあいのうちに、ごぞんじのおかたもござりましょうが、)

拙者親方と申すは、お立合の中に、御存じのお方もござりましょうが、

(おえどをたって、にじゅうりかみがた、そうしゅうおだわらいっしきまちをおすぎなされて、)

お江戸を発って、二十里上方、相州小田原一色町をお過ぎなされて、

(あおものちょうをのぼりへおいでなさるれば、らんかんばしとらやとうえもんただいまはていはついたして、)

青物町を登りへおいでなさるれば、欄干橋虎屋籐衛門只今は剃髪致して、

(えんさいとなのりまする。)

円斉となのりまする。

(がんちょうよりおおつごもりまで、おてにいれまするこのくすりは、)

元朝より大晦日まで、お手に入れまする此の薬は、

(むかしちんのくにのとうじん、ういろうというひと、わがちょうへきたり、)

昔ちんの国の唐人、外郎という人、わが朝へ来り、

(みかどへさんだいのおりから、このくすりをふかくこめおき、)

帝へ参内の折から、この薬を深く籠め置き、

(もちゆるときはいちりゅうずつ、かんむりのすきまよりとりいだす。)

用ゆる時は一粒ずつ、冠のすき間より取り出だす。

(よってそのなをみかどより、とうちん~うとたまわる。)

依ってその名を帝より、とうちん~うと賜わる。

(すなわちもんじには「いただき、すく、におい」とかいて「とうちん~う」ともうす。)

即ち文字には「頂き、透く、香い」とかいて「とうちん~う」と申す。

(ただいまはこのくすり、ことのほかせじょうにひろまり、)

只今はこの薬、殊の外世上に弘まり、

(ほうぼうにせかんばんをいだし、いや、おだわらの、)

方々に似看板を出だし、イヤ、小田原の、

(はいだわらの、さんだわらの、すみだわらのといろいろにもうせども、)

灰俵の、さん俵の、炭俵のと色々に申せども、

(ひらがなをもって「ういろう」としるせしはおやかたえんさいばかり。)

平仮名をもって「ういろう」と記せしは親方円斉ばかり。

(もしやおたちあいのうちに、あたみかとうのさわへとうじにおいでなさるるか、)

もしやお立合の内に、熱海か塔の沢へ湯治にお出でなさるるか、

(またはいせごさんぐうのおりからは、かならずかどたがいなされまするな。)

又は伊勢御参宮の折からは、必ず門違いなされまするな。

(おのぼりならばみぎのかた、おくだりなさればひだりがわ、)

お登りならば右の方、お下りなされば左側、

(はっぽうがやつむね、おもてがみつむねぎょくどうづくり、)

八方が八つ棟、表が三つ棟玉堂造り、

(はふにはきくにきりのとうのごもんをごしゃめんあって、)

破風には菊に桐のとうの御紋を御赦免あって、

(けいずただしきくすりでござる。)

系図正しき薬でござる。

など

(いやさいぜんよりかめいのじまんばかりもうしても、ごぞんじないかたには、)

イヤ最前より家名の自慢ばかり申しても、ご存知ない方には、

(しょうしんのこしょうのまるのみ、しらかわよふね、)

正身の胡椒の丸吞、白河夜船、

(さらばいちりゅうたべかけて、そのきみあいをおめにかけましょう。)

さらば一粒食べかけて、その気見合いをお目にかけましょう。

(まずこのくすりをかようにいちりゅうしたのうえにのせまして、)

先ずこの薬をかように一粒舌の上にのせまして、

(ふくないへおさめますると、いやどうもいえぬは、)

腹内へ納めますると、イヤどうも云えぬは、

(い、しん、はい、かんがすこやかになりて、)

胃、心、肺、肝がすこやかになりて、

(くんぷうのんどよりきたり、こうちゅうびりょうをしょうずるがごとし。)

薫風咽より来り、口中微涼を生ずるが如し。

(ぎょちょう、きのこ、めんるいのくいあわせ、そのほか、)

魚鳥、茸、麺類の食合わせ、其の他、

(まんびょうそっこうあることかみのごとし。)

万病速効ある事神の如し。

(さて、このくすり、だいいちのきみょうには、したのまわることが、)

さて、この薬、第一の奇妙には、舌のまわることが、

(ぜにごまがはだしでにげる。)

銭ゴマがはだしで逃げる。

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