ウェザーリポート

(あめあがりさしたまんま)

雨上がり差したまんま

(かさがひとつ)

傘がひとつ

(きまりどおりいろをふんで)

決まり通り色を踏んで

(ぬらしたひもぐつ)

濡らした紐靴

(まんほーるはせーふね)

マンホールはセーフね

(かえりみちで)

帰り道で

(いつもどおりかさのなか)

いつも通り傘の中

(えがおがふたつ)

笑顔がふたつ

(なにもいえないのは)

何も言えないのは

(なにもいわないから)

何も言わないから

(あんなことがあったのに)

あんな事があったのに

(わらうから)

笑うから

(あなたのそのこきゅうが)

あなたの　その呼吸が

(あなたのこころはどうであれ)

あなたの心はどうであれ

(たしかにつづくきょうを)

確かに続く　今日を

(かなしいほどいとしくおもう)

悲しい程　愛しく思う

(いつもよりちんもくが)

いつもより沈黙が

(みみもとでさわぐ)

耳元で騒ぐ

(つぎにでることばで)

次に出る言葉で

(かけをしているような)

賭けをしている様な

(ゆうやけにさしたまんま)

夕焼けに差したまんま

(かさがひとつ)

傘がひとつ

(みなれたよこがお)

見慣れた横顔

(はじめてみたような)

初めて見た様な

(きずついたそのときを)

傷付いたその時を

(ちかくでみていた)

近くで見ていた

(このめのまえでだって)

この目の前でだって

(わらおうとするから)

笑おうとするから

(あなたのそのえがおが)

あなたの　その笑顔が

(だれかのこころをゆるすなら)

誰かの心を許すなら

(せめてかさのうちがわは)

せめて傘の内側は

(あなたをゆるして)

あなたを許して

(どうかみせてほしい)

どうか見せてほしい

(ふれないのがおもいやり)

触れないのが思いやり

(そういうばあいもあるけど)

そういう場合もあるけど

(われながらひきょうないいわけ)

我ながら卑怯な言い訳

(いたみをしるのがただこわいだけ)

痛みを知るのがただ怖いだけ

(さいしゅうげこうじこくの)

最終下校時刻の

(ちゃいむがとおく)

チャイムが遠く

(くるまやのまえのこうさてんで)

車屋の前の交差点で

(またあしたじゃあね)

また明日　じゃあね

(こくどうのかわをわたって)

国道の川を渡って

(やっぱりふりむいたら)

やっぱり振り向いたら

(まんほーるのうえにたって)

マンホールの上に立って

(かさがくるくる)

傘がくるくる

(あなたのあのえがおが)

あなたの　あの笑顔が

(あなたのこころをかくしていた)

あなたの心を隠していた

(あのかさのむこうがわは)

あの傘の向こう側は

(きっとそうだしんごうはあか)

きっとそうだ　信号は赤

(あなたのそのこきゅうが)

あなたの　その呼吸が

(あなたをなんどせめたでしょう)

あなたを何度責めたでしょう

(それでもつづくきょうを)

それでも続く今日を

(わらうまえにだきしめてほしい)

笑う前に　抱きしめて欲しい

(だきしめにいこう)

抱きしめに行こう

(くるまやのまえのこうさてんで)

車屋の前の交差点で

(しょーうぃんどうにうつる)

ショーウィンドウに映る

(あいあいがさひとりぼっち)

相合傘ひとりぼっち

(それをだきしめた)

それを抱きしめた

(じぶんでだきしめた)

自分で抱きしめた