恋を語る詩人になれなくて

(こうていのにれのこかげ)

校庭の楡の木陰

(りるけのししゅうをめくり)

リルケの詩集をめくり

(くちびるがうごいている)

唇が動いている

(きみはいまむねのおくに)

君は今 胸の奥に

(どんななやみをかかえて)

どんな悩みを抱えて

(そよかぜにふかれるのか？)

そよ風に吹かれるのか?

(とおくから)

遠くから

(きづかれず)

気付かれず

(そっとまもってあげたい)

そっと守ってあげたい

(まなざしは)

眼差しは

(きみをあたたかくするよ)

君を暖かくするよ

(たいよう)

太陽

(こいをかたるしじんになれなくて・・・)

恋を語る詩人になれなくて・・・

(ことばをかざるより)

言葉を飾るより

(むくちなぼくでいる)

無口な僕でいる

(こいをかたるしじんになれなくて・・・)

恋を語る詩人になれなくて・・・

(ときめきはときめきのまま)

ときめきは ときめきのまま

(のにさくはなであればいい)

野に咲く花であればいい

(こんいろのせーらーふく)

紺色のセーラー服

(りぼんをむすびなおして)

リボンを結び直して

(ほほえんではしりだした)

微笑んで走り出した

(そのばしょでみつけたのは)

その場所で見つけたのは

(きっとこたえではなくて)

きっと答えではなくて

(せいしゅんというなのみち)

青春という名の道

(すぐそばを)

すぐそばを

(すぎてゆく)

過ぎて行く

(ほのかなせっけんのかおり)

ほのかな石鹸の香り

(ふりむけば)

振り向けば

(きみのそのうしろすがたに)

君のその後ろ姿に

(こもれび)

木漏れ日

(かたるだけできえてしまいそうな・・・)

語るだけで消えてしまいそうな・・・

(つたえることよりも)

伝えることよりも

(だいじなものがある)

大事なものがある

(かたるだけできえてしまいそうな・・・)

語るだけで消えてしまいそうな・・・

(せつなさはせつなさのまま)

切なさは 切なさのまま

(いとおしいはなであればいい)

愛おしい花であればいい

(こいをかたるしじんになれなくて・・・)

恋を語る詩人になれなくて・・・

(ことばをかざるより)

言葉を飾るより

(むくちなぼくでいる)

無口な僕でいる

(こいをかたるしじんになれなくて・・・)

恋を語る詩人になれなくて・・・

(ときめきはときめきのまま)

ときめきは ときめきのまま

(のにさくはなであればいい)

野に咲く花であればいい