痕跡／センラ

(こよいさいていなゆめをみせて)

今宵最低な夢を見せて

(あなたのそのすべてで)

貴方のそのすべてで

(きずをつけて)

傷をつけて

(ほしもつきもしらない)

星も月も知らない

(よるのかたすみへ)

夜の片隅へ

(にげこんでは)

逃げ込んでは

(いびつなひみつをきょうもまた)

歪な秘密を今日もまた

(かさねあってせつなくなる)

重ね合って 切なくなる

(つぎはいつあえるのでしょう)

「次はいつ会えるのでしょう？」

(いいかけたくちをふさいで)

言いかけた口をふさいで

(あたたかなうそだけで)

暖かな嘘だけで

(なにもかもぜんぶわすれさせて)

何もかも全部忘れさせて

(わたしさいていなゆめをみている)

私最低な夢を見ている

(よこしまで)

邪で

(かくせやしないほどに)

隠せやしないほどに

(ひどくうずく)

酷く疼く

(あなたをいまうばいたい)

貴方をいま奪いたい

(はかないかんけいとわかっている)

儚い関係と分かっている

(されどあいしているって)

されど「愛している」って

(ことばにすがるのです)

言葉にすがるのです

(ふかくふかくまで)

深く深くまで

(あなたのこんせきを)

あなたの痕跡を

(きざみつけて)

刻みつけて

(いたいほどにつよく)

痛いほどに強く

(ひとりめざめるあさには)

独り目覚める朝には

(またきまってなみだになる)

また決まって涙になる

(おもかげをぬりつぶす)

面影を塗りつぶす

(わたしだけをみてほしい)

「私だけを見てほしい」

(けっしてことばにしないから)

決して言葉にしないから

(かわいたこころへと)

渇いた心へと

(そそいでよもっとよごすように)

注いでよもっと汚すように

(わたしさいていなゆめをみている)

私最低な夢を見ている

(のこりがさえ)

残り香さえ

(なくせやしないほどに)

失くせやしないほどに

(ひどくもろく)

酷く脆く

(あなたをただかんじたい)

貴方をただ感じたい

(あやういかんけいとわかっている)

危うい関係と分かっている

(されどあいにいくって)

されど「会いに行く」って

(ことばをまちつづける)

言葉を待ち続ける

(あまくよくぶかくあなたのこんせきを)

甘く欲深く貴方の痕跡を

(もとめている)

求めている

(いたいほどにつよく)

痛いほどに強く

(とぎれたままのあかいいと)

途切れたままの赤い糸

(りねんのうみのそこ)

リネンの海の底

(あなたごとわたしごと)

貴方ごと私ごと

(えいえんにさめない)

永遠に醒めない

(ゆめになって)

夢になって

(しまえばいいの)

しまえばいいの

(ごめんねあいしてる)

ごめんね、愛してる

(こよいさいていなゆめをみせて)

今宵最低な夢を見せて

(あなたのすべてで)

貴方のすべてで

(さいごのわがままをきいて)

最後のわがままを聞いて

(このまますべて)

このまますべて

(うばわせてねぇ)

奪わせて、ねぇ

(さいていなゆめをみている)

最低な夢を見ている

(よこしまで)

邪で

(かくせやしないほどに)

隠せやしないほどに

(ひどくあかく)

酷く赤く

(あなたといまやけおちる)

貴方と今灼け落ちる

(ばかなわたしをゆるして)

馬鹿な私を許して

(なんかいも)

何回も

(あいしているってことば)

「愛している」って言葉

(つたえることしか)

伝えることしか

(できない)

できない

(さいごまであなたのこんせきを)

最後まであなたの痕跡を

(きざみつけて)

刻みつけて

(いたいほどにつよく)

痛いほどに強く