シニカリアリズム

(ぶらふをかさねてたばねてまとめてかーどにこめなげる)

ブラフを重ねて、束ねて、纏めてカードに込め投げる

(あまたをなかせてさかせてしずめてわびのべる)

数多を啼かせて、咲かせて、沈めて、詫び述べる

(こうかしたのさかばでかんぱりあおればあのこをおもいだす)

高架下の酒場でカンパリ煽ればあの子を思い出す

(ただのきまぐれでさいころをわたしたかのじょのことを)

ただの気まぐれでサイコロを渡した彼女のことを

(せんけんはときとしてただざんこくなのねねぇこのまちはおきらいかしら)

先見は時としてただ残酷なのね　ねぇ、この都市はお嫌いかしら？

(けいてきのあめかりそめのあんねいひざまずいてすがってからまりあってしまったかんけい)

警笛の雨　仮初の安寧　跪いて、縋って、絡まり合ってしまった関係

(きりさめはさんせいはめつへのてをえよ)

霧雨は酸性　破滅への手を得よ

(はいけいあなたはげんきかしらえみのうらにうれいをかくしながら)

拝啓貴女は元気かしら　笑みの裏に憂いを隠しながら

(どろのようなかんじょうをおぢころしながら)

泥のような感情を　押し殺しながら

(めいめいときょうもたねをうえるのかしらなんてかなしくってきよらかなありかた)

明明と今日も種を植えるのかしら　なんて哀しくって清らかな在り方

(こどくなるとうせいしゃみかたもなく)

孤独なる統制者　味方も亡く

(ああかれがもしもいかされてたならこのせかいのすべてひきかえに)

嗚呼　彼がもしも生かされてたなら、この世界の全て引き換えに

(あなたとてをとりあえてたかもね)

貴女と手を取り合えてたかもね

(あきれたこのくにのじょうたいにくさるちょうあいじうなるまきなまきなく)

呆れたこの国の状態に腐る寵愛児　唸るマキナ　巻き鳴く

(じょうきとうのみこのしんたくはけいしされてえんのたくはきりきりまいじょうたい)

蒸気塔の巫女の信託は軽視されて　円の卓はきりきり舞い状態

(でくずれさったどくさいしゃわくはちょうしゅうしゃざしためしあめしあぐ)

で、崩れ去った独裁者　沸くは聴衆者　座した救世主　召し上ぐ

(かいこにしおりをはさみとじたそしてげんざいにいたったってわけね)

回顧に栞を挟み閉じた　そして原罪に至ったって訳ね

(はぐるまはただまわりつづけててんけいははめつにはりをさした)

歯車はただ廻り続けて、天啓は破滅に針を指した

(もうろくのかめおざなりなかんていいがみあってあっけなくうちぬかれたかんけい)

耄碌の亀　御座形な鑑定　啀み合って呆気なく撃ち抜かれた関係

(もやしたかだべるさめためとめのげろう)

燃やしたカダベル　冷めた眼と目の下郎

(はいけいあたしはげんきですよほんとうのえがおわすれてしまったけど)

拝啓あたしは元気ですよ　本当の笑顔忘れてしまったけど

(よごれきったかんじょうはぬぐえないけれど)

汚れきった感情は　拭えないけれど

(せんせんきょうきょうのまちでくらしていますよなんてらしくないことをぬかしました)

戦々恐々の都市で暮らしていますよ　なんてらしくない言を抜かしました？

(ほろびようがどうなろうがかまいやしませんよ)

滅びようがどうなろうが　構いやしませんよ

(まぁかれがもしもまだいきていたならこのせかいもわるくないなんて)

まぁ　彼がもしもまだ生きていたなら、この世界も悪くないなんて、

(らしくないことかんがえたのかしら)

らしくないこと考えたのかしら

(はいけいまびかれためいでいをせんのうされたあわれなるみんしゅうを)

廃鶏間引かれたメイデイを、洗脳された哀れなる民衆を、

(そこなきこんとんにのみこんでゆくはヴぇんでった)

底無き混沌に呑み込んでゆくはヴェンデッタ

(きょうはまちをいぶしていますかなんてたわむれもいえなくなってきて)

今日は都市を燻していますか？　なんて戯れも言えなくなってきて、

(ほどなくそんざいはぐれんのろうでもうろう)

程なく存在は　紅蓮の牢で朦朧

(しきにきとう)

死期に祈祷

(やっとわらえているんですねそれがたがはずれたものだとしても)

やっと笑えているんですね　それが箍、外れたものだとしても

(だれがとがめられようかけがれないこころ)

誰が咎められようか　穢れない心

(みょうじょうがきょうのそらにうかんでいましたなんてうつくしいいちまいえなのでしょう)

明星が今日の空に浮かんでいました　なんて美しい一枚絵なのでしょう

(おぞましいあびじごくもわすれてしまいそうね)

悍ましい阿鼻地獄も　忘れてしまいそうね

(ああかれがもしもいきぬけていたならこのせかいはけげれていたままで)

嗚呼　彼がもしも生き抜けていたなら、この世界は穢れていたままで

(それでもあなたたちふたりは)

それでも貴女達二人は

(せかいをだましてだっしてたっして)

世界を騙して、脱して、達して

(これはあったのかもしれないみらいだけどもうかなうことのないみらい)

これはあったのかもしれない未来　だけど、もう叶うことのない未来

(しずかにこのみぎめをとじました)

静かに此の右眼を閉じました