Anemone/可不

(うみのおとあのまちのにおい)

海の音　あの街の匂い

(きみをさがしてうまれてきたの)

君を探して　生まれてきたの

(あめのおとあさのにおい)

雨の音　朝の匂い

(こぼれたこーひー)

溢れた珈琲

(くうちょうとすこやかなこきゅう)

空調と健やかな呼吸

(きんようびのよるはがいしょくにしようってわらう)

金曜日の夜は外食にしようって笑う

(そんなまいにちがいとおしい)

そんな毎日が愛おしい

(しずむさめていく)

沈む醒めていく

(このほしはばかげている)

この星は馬鹿げている

(ほんとうのことばなんてどこにもない)

ほんとうの言葉なんてどこにもない

(ただしいせいかつのにおいやおとやかんしょくを)

正しい生活の匂いや音や感触を

(ああきみとさがしたいの)

ああきみと捜したいの

(さちをさがすいたいけなまどい)

幸を捜す　いたいけな惑い

(じゃまをしないで)

邪魔をしないで

(あねもねがれもんいろにさく)

アネモネが檸檬色に咲く

(ねえそんなつらいならてをにぎって)

ねぇ　そんなつらいなら手を握って

(わらわせてあげる)

笑わせてあげる

(かわいそうねゆるしてね)

かわいそうね　ゆるしてね

(りーちがかかるけんのんなようそう)

リーチがかかる剣呑な様相

(あれもこれもそれもっていって)

あれもこれもそれもって云って

(なんてせっそうがない)

なんて節操がない！

(ねえそんなゆめみているきみはきらい)

ねえ　そんな夢見ているきみは嫌い

(そんなまいにちならいらない)

そんな毎日なら要らない

(にじむわらってしまう)

滲む笑ってしまう

(ごめんねまっしろいまいひーろー)

ごめんね真白いマイヒーロー

(さしこむようなはいぞうのいたみも)

差し込むような肺臓の痛みも

(おしゃれにうたってほら)

お洒落に謳ってほら

(せんさいなれとりっくで)

繊細なレトリックで

(ああざんねん)

ああ残念

(まちがっている)

間違っている

(ほんねではなしてくれ)

本音で話してくれ

(たゆたうまっしろいまーめいど)

揺蕩う真白いマーメイド

(ものろーぐ)

モノローグ

(なにもぎむかんだけじゃない)

なにも義務感だけじゃない

(こたえがほしくてさ)

答えがほしくてさ

(くびすじにふれてしまったんだ)

首筋に触れてしまったんだ

(ねえぼくをすてないで)

「ねぇぼくを捨てないで」

(けむるわらってしまう)

煙る　笑ってしまう

(ぼくらだってばかげている)

僕らだって馬鹿げている

(ほんとうのことばなんてどこにもない)

ほんとうの言葉なんてどこにもない

(ただしいせいかつのにおいやおとやかんしょくを)

正しい生活の匂いや音や感触を

(ああきみとさがしたいの)

ああきみと捜したいの

(きょうだいずっとさがしてたよ)

兄弟　ずっと捜してたよ