心にもない/saikawa

(さしだされたてのぬくもりを)

差し出された手の温もりを

(まるでほんものみたいににぎった)

まるで本物みたいに握った

(むけられたさきがあなたではないこと)

向けられた先が貴方ではないこと

(しらないでいて)

知らないでいて

(はいていったきれいなことば)

吐いていった きれいな言葉

(やさしさがつたわってくるのは)

優しさが伝わってくるのは

(さがついているから)

“さ”がついているから？

(そうであってほしいな)

そうであってほしいな

(わたしいがいのだれでもないわたしのため)

私以外の誰でもない 私のため

(おもえばいつからだろうやさしさがこわい)

思えばいつからだろう 優しさが怖い

(わたしからはなにもかえせないの)

私からは何も返せないの

(ふかいもりのなかひとりでさがしている)

深い森の中 一人で探している

(あなたにちかづけるように)

貴方に近づけるように

(わすれないように)

忘れないように

(おもってもないこと)

思ってもないこと

(おもったかおをして)

思った顔をして

(いえるようになっていたよ)

言えるようになっていたよ

(そんなたいそうなものじゃないよ)

そんな大層なものじゃないよ

(ほんとうのことほど)

本当の事ほど

(ひみつにしておくんだよ)

秘密にしておくんだよ

(ほんとうなんてないことにして)

本当なんてないことにして

(おとなになる)

大人になる

(ひとりになることさけようと)

一人になること避けようと

(すればするほどさみしくなるの)

すればするほど寂しくなるの

(とまときらいなわたしのおさらでは)

トマト嫌いな私のお皿では

(とまとだけがいきていけるみたいに)

トマトだけが 生きていけるみたいに

(おもえばいつからだろう)

思えばいつからだろう

(やさしくあれが)

｢優しく在れ｣が

(やさしさでうれに)

｢優しさで売れ｣に

(きこえたのは)

聞こえたのは

(おなじみみできいたはずなのにね)

同じ耳で聞いたはずなのにね

(ねがいごとでかなうのはねがうことだけだ)

願い事で叶うのは 願うことだけだ

(りそうはだきょうにうまっている)

理想は妥協に埋まっている

(こころにもないこと)

心にもないこと

(ことばにして)

言葉にして

(いきれるようになってきたよ)

生きれるようになってきたよ

(そんなたいそうなものじゃないよ)

そんな大層なものじゃないよ

(ほんとうのことほど)

本当の事ほど

(ひみつにしておくんだね)

秘密にしておくんだね

(やさしさってなにかについている)

優しさって何かについている

(おまけみたいなもの)

おまけみたいなもの？

(こどものしんかがおとななら)

子供の進化が大人なら

(どうして)

どうして

(どうしてこどもをうらやむの)

どうして 子供を羨むの

(ほんとうにしんかしているのなら)

本当に進化しているのなら

(どうして)

どうして

(できなくなることがあるの)

できなくなることがあるの

(あなたのなかであるいていた)

貴方の中で歩いていた

(なにもかんがえられずにぼうっとしているだけ)

何も考えられずに ぼうっとしているだけ

(いっそあのままずっとぼうっとしてくれたら)

いっそあのままずっと ぼうっとしてくれたら

(どれほどすてきだったろう)

どれほど素敵だったろう

(こころにもないことことばにして)

心にもないこと言葉にして

(いきれるようになってきたよ)

生きれるようになってきたよ

(これがたいそうなもんかよ)

これが大層なもんかよ

(きれいなものになっていく)

綺麗なものになっていく

(あいまいになっていく)

曖昧になっていく

(それでもわたしはあなたをわすれない)

それでも私は 貴方を忘れない

(きづかずおとした)

気づかず落とした

(なにかをさがして)

何かを探して