0光年先の星／志麻

(あのほしからみたぼくらのきょりは)

あの星から見た僕らの距離は

(たった０こうねんだけしかない)

たった０光年だけしかない

(もよりえきまでとほ５ふんもよりのこんびにまではとほ２ふん)

最寄り駅まで徒歩５分 最寄りのコンビニまでは徒歩２分

(きみがすむまちまでたぶんあるいていつかくらいかな)

君が住む町までたぶん歩いて５日くらいかな

(なにもかもがちかいのにたくさんのひととすれちがうのに)

何もかもが近いのに たくさんの人とすれ違うのに

(いちばんあいたいひとにうちゅうよりもとおい)

一番会いたい人に宇宙よりも遠い

(ふかんぜんなかたちのせいざねむれないひとたちのせいさ)

不完全な形の星座 眠れない人たちのせいさ

(きみはいまどんなよるをすごしてるだろう)

君は今どんな夜を過ごしてるだろう

(さくらのもとでならんだしゃしんふれそうでふれないてとて)

桜の下で並んだ写真 触れそうで触れない手と手

(はぐれないようにつなぎたかった)

はぐれないようにつなぎたかった

(あのほしからみたぼくらのきょりは)

あの星から見た僕らの距離は

(たった０こうねんだけしかなくて)

たった０光年だけしかなくて

(めいっぱいてをのばしたらいつか)

めいっぱい手を伸ばしたらいつか

(ふれられるようなきがした)

触れられるような気がした

(せいざをえがいた８９こめを)

星座を描いた ８９個目を

(かみさまじゃなくてふたりのものがたりを)

神様じゃなくて ２人の物語を

(もよりのえきからとほ５ふんあしばやにかけぬければぎり２ふん)

最寄りの駅から徒歩５分 足早に駆け抜ければギリ２分

(ひかりのはやさもたぶんそのうちおいこせるだろう)

光の速さもたぶんそのうち追い越せるだろう

(やまづみのままのだんぼーる６じょうのせまいわんるーむ)

山積みのままのダンボール ６畳の狭いワンルーム

(あれもこれもおさまらなくておいてきたけど)

あれもこれも収まらなくて置いてきたけど

(あふれるほどつめこんだっておもいはかさばらないから)

溢れるほど詰め込んだって想いは嵩張らないから

(１つものこさずもってきたんだ)

１つも残さず持ってきたんだ

(ねえどうしてめのまえにいるときほど)

ねえ、どうして目の前にいるときほど

(ことばはうちゅうのかなたにあるの)

言葉は宇宙の彼方にあるの？

(わらってごまかしてみせたけど)

笑って誤魔化してみせたけど

(はなれないようにはぐれないように)

離れないように はぐれないように

(てとてをつなぎたかった)

手と手をつなぎたかった

(あのほしからみたぼくらのきょりは)

あの星から見た僕らの距離は

(たった０こうねんだけしかなくて)

たった０光年だけしかなくて

(ずっとあるきつづければいつか)

ずっと歩き続ければいつか

(たどりつくようなきがした)

たどり着くような気がした

(せいざをえがいた８９こめを)

星座を描いた ８９個目を

(かみさまじゃなくてふたりのものがたりを)

神様じゃなくて ２人の物語を

(はなればなれのぼくたちが)

離ればなれの僕たちが

(であえるものがたりを)

出会える物語を