夏目漱石「こころ」3-12

夏目漱石の「こころ」(下)でございます。
なるべく原文ママで問題を設定しておりますので、誤字なのか原文なのかややこしいとは思われますが最後までお付き合い下さい。
次:https://typing.twi1.me/game/378246
オリジナルの書き方・読み方については以下に載せますので、参考の程よろしくお願い致します。
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2:取付(とつつき)
5:覚(おぼえ)
6:濃か(こまやか)
7:包まれて(くるまれて)
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問題文
(なな)
七
(「わたくしがさんどめにきこくしたのは、それからまたいちねんたったなつのとつつきでした。)
「私が三度目に帰国したのは、それから又一年経った夏の取付でした。
(わたくしはいつでもがくねんしけんのすむのをまちかねてとうきょうをにげました。)
私は何時でも学年試験の済むのを待ちかねて東京を逃げました。
(わたくしにはこきょうがそれほどなつかしかったからです。)
私には故郷がそれ程懐かしかったからです。
(あなたにもおぼえがあるでしょう、うまれたところはくうきのいろがちがいます。)
貴方にも覚があるでしょう、生れた所は空気の色が違います。
(とちのにおいもかくべつです、ちちやははのきおくもこまやかにただよっています。)
土地の匂も格別です、父や母の記憶も濃かに漂っています。
(いちねんのうちで、ななはちのふたつきをそのなかにくるまれて、)
一年のうちで、七八の二月をその中に包まれて、
(あなにはいったへびのようにじっとしているのは、)
穴に入った蛇の様に凝としているのは、
(わたくしにとってなによりもあたたかいいいこころもちだったのです。)
私に取って何よりも温かい好い心持だったのです。
(たんじゅんなわたくしはいとことのけっこんもんだいについて、)
単純な私は従妹との結婚問題に就いて、
(さほどあたまをいためるひつようがないとおもっていました。)
左程頭を痛める必要がないと思っていました。
(いやなものはことわる、ことわってさえしまえばあとにはなにものこらない、)
厭なものは断る、断ってさえしまえば後には何も残らない、
(わたくしはこうしんじていたのです。)
私はこう信じていたのです。
(だからおじのきぼうどおりにいしをまげなかったにもかかわらず、)
だから叔父の希望通りに意志を曲げなかったにも関らず、
(わたくしはむしろへいきでした。)
私は寧ろ平気でした。
(かこいちねんのあいだいまだかつてそんなことにくったくしたおぼえもなく、)
過去一年の間いまだかつてそんな事に屈託した覚もなく、
(あいかわらずのげんきでくにへかえったのです。)
相変らずの元気で国へ帰ったのです。
(ところがかえってみるとおじのたいどがちがっています。)
ところが帰って見ると叔父の態度が違っています。
(もとのようにいいかおをしてわたくしをじぶんのふところにだこうとしません。)
元のように好い顔をして私を自分の懐に抱こうとしません。
(それでもおうようにそだったわたくしは、かえってしごにちのあいだはきがつかずにいました。)
それでも鷹揚に育った私は、帰って四五日の間は気が付かずにいました。
(ただなにかのきかいにふとへんにおもいだしたのです。)
ただ何かの機会に不図変に思い出したのです。
(するとみょうなのは、おじばかりではないのです。)
すると妙なのは、叔父ばかりではないのです。
(おばもみょうなのです。)
叔母も妙なのです。
(いとこもみょうなのです。)
従妹も妙なのです。
(ちゅうがっこうをでて、これからとうきょうのこうとうしょうぎょうへはいるつもりだといって、)
中学校を出て、これから東京の高等商業へ這入る積りだといって、
(てがみでそのようすをききあわせたりしたおじのおとこのこまでみょうなのです。)
手紙でその様子を聞き合せたりした叔父の男の子まで妙なのです。