「DWDB-221E」基本情報タイピング

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投稿者投稿者おんどりいいね0お気に入り登録
プレイ回数117難易度(4.6) 3934打 長文
「DWDB-221E」フレーバーテキスト

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問題文

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(はじめにいくつかのぼんやりとしたひとかげが、つぎにまばゆいひかりがみえた。)

始めにいくつかのぼんやりとした人影が、次にまばゆい光が見えた。

(ひかりはゆっくりととおざかり、てんにのぼったかとおもうと)

光はゆっくりと遠ざかり、天に昇ったかと思うと

(かがやくまだらもようとなって、ほどなくそれもきえていき)

輝くまだら模様となって、ほどなくそれも消えていき

(むいみなしっこくだけがのこる。)

無意味な漆黒だけが残る。

(そのかがやくまだらもようをかたちづくるちいさなてんのひとつひとつがてんたいであり)

その輝くまだら模様を形作る小さな点の一つ一つが天体であり

(そしてほしぼしのこきょうのながうちゅうであることを、あなたはおもいだした。)

そして星々の故郷の名が「宇宙」であることを、あなたは思い出した。

(ふいにしかいがひらけて、なめらかなきんぞくとみっぺいされたくうかん)

ふいに視界が開けて、滑らかな金属と密閉された空間

(そしてとうめいなまどがあなたのもうひとつのめとなった。)

そして透明な窓があなたのもう一つの目となった。

(そのまどをとおして、あなたはきょだいなはいいろのきゅうたいをみていたのだ。)

その窓を通して、あなたは巨大な灰色の球体を見ていたのだ。

(あのじょうじんにはりかいのおよばぬきょだいなこうぞうぶつのなかで)

あの常人には理解の及ばぬ巨大な構造物の中で

(それはうみのおやをしずかにまっている)

それは生みの親を静かに待っている……

(あなたはとつぜんかんきわまり、あるしゅのたいえきがしかいをしませた。)

あなたは突然感極まり、ある種の体液が視界を滲ませた。

(そのかんじょうのでどころは、あかごの)

その感情の出処は、赤子の……

(わがこのうまれるしゅんかんをみたことにあるようだった。)

我が子の生まれる瞬間を見たことにあるようだった。

(あらたなうんめい、そのたましいにたくされたおもい)

新たな運命、その魂に託された思い

(しかしあのおおきなこうぞうぶつをまえにすれば)

しかしあの大きな構造物を前にすれば

(このちいさないのちはなんととるにたらないことだろうか。)

この小さな命はなんと取るに足らないことだろうか。

(ふとしせんをしたにむけ、だいしょうさまざまなさぎょうようのせんかんがめにはいると)

ふと視線を下に向け、大小様々な作業用の戦艦が目に入ると

(すうがくしゃであるあなたはすぐさまじょうだんじみたひかくをおこなった。)

数学者であるあなたはすぐさま冗談じみた比較を行った。

(あのなかでいちばんちいさなせんかんですら、じんるいのあかごのすうせんまんばいはあるだろう、と。)

あの中で一番小さな戦艦ですら、人類の赤子の数千万倍はあるだろう、と。

など

(だが、あなたたちはやってのけたのだ。)

だが、あなたたちはやってのけたのだ。

(はるかとおいむかし、ひをおこし、あるいはかりをはじめたそのじだいから)

遙か遠い昔、火を起こし、あるいは狩りを始めたその時代から

(きょうこのひまであゆんでみせた。)

今日この日まで歩んで見せた。

(あなたはそれをほこらしくおもった。)

あなたはそれを誇らしく思った。

(どういうわけか、そのほこらしさはまるでじぶんじしんのものかのようにかんじて)

どういうわけか、その誇らしさはまるで自分自身のものかのように感じて

(そのしゅんかん、さらにおおくのじょうほうがのうないへとながれこんできた。)

その瞬間、さらに多くの情報が脳内へと流れ込んできた。

(あなたはじぶんがだれかをおもいだし)

あなたは自分が誰かを思いだし

(あのじんこうえいせいのせっけいしゃがおのれであることをりかいした。)

あの人工衛星の設計者が己であることを理解した。

(そうしてあなたは、ながいながいあくうかんでのたびをおえ)

そうしてあなたは、長い長い亜空間での旅を終え

(ついにえいせいのかんせいをめにするしゅんかんをむかえたのだ。)

ついに衛星の完成を目にする瞬間を迎えたのだ。

(めいよ、ざいさん、かぞく、りそう)

名誉、財産、家族、理想……

(そんなことばがうかんでは、うずをまいてきえていき)

そんな言葉が浮かんでは、渦を巻いて消えていき

(さいごにのこったのはたったひとつ)

最後に残ったのはたった一つ……

(みらい)

「未来……」

(なんだって?おまえ、いったいなにがみえたんだ?)

「なんだって?お前、一体何が見えたんだ?」

(「・・・・・」)

「……」

(おい、へんじしろ!おい!)

「おい、返事しろ!おい!」

(ぜんいんがちんもくすると、そばにいたわかいじょせいがあわてだした。)

全員が沈黙すると、そばにいた若い女性が慌てだした。

(かれののうをしらべて!ああもう)

「彼の脳を調べて!ああもう

(でーたべーすとのつうしんぷろとこるをかくりつしたばかりで)

データベースとの通信プロトコルを確立したばかりで

(こんなにいそぐべきじゃないっていったでしょ!)

こんなに急ぐべきじゃないって言ったでしょ!

(やっとさいしょのてんそうにせいこうしたところだったのに!)

やっと最初の転送に成功したところだったのに!」

(すまなかった。)

「……すまなかった。」

(はあ?なにがだよ。)

「はあ?何がだよ。」

(じつはこれまで、わたしはきみたちわくせいえんじにあのことが)

「実は……これまで、私は君たち惑星エンジニアのことが

(すきじゃなかったんだ。)

好きじゃなかったんだ。

(どうもみかけだおしのけんきゅうばかりしているようにおもえてだが、ちがった。)

どうも見かけ倒しの研究ばかりしているように思えて……だが、違った。

(わたしにはみえた。きみのかこをみて、それにきょうかんし、きみのかんじょうもにふれたんだ。)

私には見えた。君の過去を見て、それに共感し、君の感情もに触れたんだ。

(まさしくなににもかえがたいものだった。)

まさしく……何にも代えがたいものだった。」

(まさか)

「まさか……」

(ああ。きみがどこにでもいるちちおやらしくこどもやかぞくをおもいだしながら)

「ああ。君がどこにでもいる父親らしく子供や家族を思い出しながら

(あのおどろくべきじんこうのつきをみるさまをかんじたよ。)

あの驚くべき人工の月を見る様を感じたよ。

(しかも、それはそうぞうをぜっするたいけんだったわれわれはせいこうしたんだ。)

しかも、それは想像を絶する体験だった……我々は成功したんだ。」

(ふたたび、ぜんいんがちんもくする。)

再び、全員が沈黙する。

(それならちんもくをうちやぶったのはひかくてきわかいあかがみのじょせいだった。)

「それなら……」沈黙を打ち破ったのは比較的若い赤髪の女性だった。

(それは、わたしたちのじだいやこれからのじだいを、どうきろくするのかな?)

「それは、私たちの時代やこれからの時代を、どう記録するのかな?」

(くだらないできごとのよせあつめがきろくされていくだけだろうな。)

「くだらない出来事の寄せ集めが記録されていくだけだろうな。」

(だれかがむとんちゃくにことばをかえす。)

誰かが無頓着に言葉を返す。

(そんなのいやってほどわかってるだろ。)

そんなの嫌ってほどわかってるだろ。

(だけどこんごは、やつらもおいそれとれきしを)

だけど今後は、奴らもおいそれと歴史を

(すきかってかざりたてることはできなくなるさ。)

好き勝手飾り立てることはできなくなるさ。」

(じんるいをもうすこししんじてあげたらどうかしら。)

「人類をもう少し信じてあげたらどうかしら。」

(ろうれいのじょせいはしぜんにこしかけ、しせいをらくにしてつづけた。)

老齢の女性は自然に腰かけ、姿勢を楽にして続けた。

(わたしたちはもうじゅうぶんにきょうくんをえたでしょう。)

「私たちはもう充分に教訓を得たでしょう。

(こうせいのひとびとがおなじてつをふむことはないはずよ。)

後世の人々が同じ轍を踏むことはないはずよ。」

(だれかがにがわらいした。それがうつくしいねがいにすぎないのはわかりきっているからだ。)

誰かが苦笑いした。それが美しい願いにすぎないのはわかりきっているからだ。

(ともあれ、おれたちはせいこうしたんだよな?)

「……ともあれ、俺たちは成功したんだよな?

(dwdb221eがこうもはやくみのるとはおどろいたよ)

DWDB-221Eがこうも早く実るとは……驚いたよ

(そういうと、むぞうさなかみのおとこはすっくとたちあがった。)

そう言うと、無造作な髪の男はすっくと立ち上がった。

(そうとなったら、いいかげんdwdb221eってよびかたはよさないか?)

「そうとなったら、いい加減DWDB-221Eって呼び方は止さないか?

(ぷろじぇくとこーどにめいめいきそくがあるのはしってるが)

プロジェクトコードに命名規則があるのは知ってるが

(おれたちのしごとにはamaのようなきかいてきでつめたいりゃくしょうじゃなく)

俺たちの仕事にはAmaのような機械的で冷たい略称じゃなく

(もっとりっぱなせいしきめいしょうをつけるかちがあるはずだろう!?)

もっと立派な正式名称を付ける価値があるはずだろう!?」

(かれははんとしいじょうくりかえしてきたていあんをふたたびもちだした。)

彼は半年以上繰り返してきた提案を再び持ち出した。

(たとえば、そうだなうんめい、あるいはせかいのしんりとか。)

「たとえば、そうだな……『運命』、あるいは『世界の真理』とか。」

(さきほどまでとうってかわって、きまずいちんもくがばをつつんだ。)

先ほどまでと打って変わって、気まずい沈黙が場を包んだ。

(くろいおうかんは?)

「『黒い王冠』は?

(いちぶげんしょうにともなうしかくこうかをちょっかんてきにいいあらわすと)

一部現象にともなう視覚効果を直感的に言い表すと

(まさにそういうかんじでしょ。)

まさにそういう感じでしょ。」

(びみょうだな。つまらんれきしどらまのたいとるみたいにきこえるし。)

「微妙だな。つまらん歴史ドラマのタイトルみたいに聞こえるし。」

(それなら)

「それなら……」

(きりのないぎろんをはじめんばかりのぶかたちをさえぎったろうじょは)

きりのない議論を始めんばかりの部下たちを遮った老女は

(まどのそとのほしぼしをみやった。)

窓の外の星々を見やった。

(わるいしらせもいくつかはいってきてはいるが)

悪い報せもいくつか入ってきてはいるが

(むすうにつらなるかこのれきしがそうであったように)

無数に連なる過去の歴史がそうであったように

(どんなくきょうもじんるいはのりこえていくのだろう。)

どんな苦境も人類は乗り越えていくのだろう。

(こうなづけるのはどうかしら。)

「こう名付けるのはどうかしら。」

(ぶんめいのそんぞくけいかく。)

「『文明の存続』計画。」

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