水底のメロディ

(だれもいないばしょで)

誰もいない水底で

(ひとりかなでるめろでぃ)

一人奏でるメロディ

(さびしさをまぎらす)

寂しさを紛らす

(ひとりぼっちのめろでぃ)

独りぼっちのメロディ

(さびしがりやのかっぱが)

寂しがり屋の河童が

(こいにおちたあいては)

恋に堕ちた相手は

(こえもとどかないほど)

声も届かないほど

(とてもとおいひとでした)

とても遠い人でした

(みずのそこからみまもるほどに)

水の底から見守るほどに

(こいしくて。)

恋しくて。

(すがたをかいまみては)

姿をかいま見ては

(あわいおもいをはせる)

淡い思いを馳せる

(ああにんぎょひめのように)

ああ人魚姫のように

(おかにあがれたとしても)

陸に上がれたとしても

(そのさきにはかなわない)

その先には叶わない

(とどかないせかい)

届かない世界

(せんなきもうそうはどこへいく)

詮無き妄想はどこへ行く

(さながらにんぎょひめのように)

宛ら人魚姫のように

(そばにおこなけたとしても・・・ああ)

傍に行けたとしても…嗚呼

(ためいきがわりに)

溜息がわりに

(つぶやくことばは)

呟く言葉は

(かわのながれにきえて)

河の流れに消えて

(・・・それでもいまはひとり。)

…それでも今はひとり。

(だれもいないばしょで)

誰もいない水底で

(ひとりかなでるめろでぃ)

一人奏でるメロディ

(むねのかぎもてあそぶ)

胸の鍵弄ぶ

(ひとりよがりのめろでぃ)

独り善がりのメロディ

(はずかしがりやのかっぱは)

恥ずかしがり屋の河童は

(おもいよせるあいてに)

想い寄せる相手に

(こえをかけることすら)

声を掛けることすら

(ずっとできずにいました)

ずっと出来ずにいました

(こえられぬへだたりを)

越えられぬ隔たりを

(おもうほどにかなしくて。)

思うほどに悲しくて。

(すがたをかえりみては)

姿をかえり見ては

(かなわぬゆめをえがく)

叶わぬ夢を描く

(ゆめはおもいをとめることはなく)

夢は思いを留めることはなく

(さびしさにてをのばすも)

寂しさに手を伸ばすも

(そのめにうつる)

その目に映る

(きょひとおびえのいろ)

拒否と怯えの色

(なんてすくわれぬすとーりー・・・)

何て救われぬストーリー…

(ああにんぎょひめのように)

ああ人魚姫のように

(りくにあがったさきは)

陸に上がった先は

(どうわよりざんこくで)

童話より残酷で

(むじひなせかい)

無慈悲な世界

(おうじはどこかへきえていく)

王子は何処かへ消えて行く

(けっきょくにんぎょひめですらなく)

結局人魚姫ですらなく

(そばによることもできず・・・ああ)

傍に寄ることも出来ず…嗚呼

(あきらめむねに)

諦め胸に

(たてるみずおとは)

たてる水音は

(かわのながれにきえて)

河の流れに消えて

(ああにんぎょひめになどなれず)

ああ人魚姫になどなれず

(きずあとえぐるあいろにー)

傷痕抉るアイロニー

(・・・ひとりすいていのめろでぃ。)

…ひとり水底のメロディ。