月が綺麗

(ぼくがことばをはなすきみがことばでこたえる)

僕が言葉を話す　君が言葉で答える

(ぼくらのきょりをうめたのはきっとことばだった)

僕らの距離を埋めたのは　きっと言葉だった

(じめんにねころんでほしをかぞえながらおもったこと)

地面に寝転んで星を　数えながら思ったこと

(これからはなすことばはただそれだけのはなし)

これから話す言葉は　ただそれだけの話

(うちゅうのほこりとしてうおうさおうばっかのぼくらは)

宇宙の埃として　右往左往ばっかの僕らは

(じめんにしばられてるから)

地面に縛られてるから

(きっとほんのうなんだこのじゅうりょくにあらがいたいのは)

きっと本能なんだ　この重力に抗いたいのは

(なみだがじめんにおちるのはそれなりのおもさがあるから)

涙が地面に落ちるのは　それなりの重さがあるから

(じんせいにおいてくらくはわくせいにおけるえいせいのよう)

人生において苦楽は　惑星における衛星のよう

(よろこびだけをつかみたくてちかづきすぎてついらくして)

喜びだけを掴みたくて　近づきすぎて墜落して

(だいなしだってないたんだところでこんやはつきがきれい)

台無しだって泣いたんだ　ところで今夜は月が綺麗

(ぼくはじかんをことばではかるせんもじかこはすてていく)

僕は時間を言葉で測る　千文字過去は捨てて行く

(いちまんもじそえんのかれとはのみにでもいかなきゃたらないから)

一万文字疎遠の彼とは　飲みにでも行かなきゃ足らないから

(おかげでちどりあしのきろきたもみなみもわからなくなって)

お陰で千鳥足の帰路　北も南も分からなくなって

(もうあきらめてねころんだほどうそらならまよわずいけるのに)

もう諦めて寝転んだ歩道　空なら迷わず行けるのに

(ぷらいどをまもるためにひとをひていなんかするなよ)

プライドを守る為に　人を否定なんかするなよ

(ほころびはすぐにぬいあわせ)

綻びはすぐに縫い合わせ

(つぎはぎだらけでみすぼらしいでもしんねんはたいがいそんなもんだ)

継ぎ接ぎだらけでみすぼらしい　でも信念は大概そんなもんだ

(とべないからこそみたけしきささいなきれいがぼくららしい)

飛べないからこそ見た景色　些細な綺麗が僕ららしい

(じんせいにおいてくらくはわくせいにおけるえいせいのよう)

人生において苦楽は　惑星における衛星のよう

(かなしみだけとおざけたくてはなれすぎたらほうりだされ)

悲しみだけ遠ざけたくて　離れ過ぎたら放り出され

(まっくらだってないたんだところでこんやはつきがきれい)

真っ暗だって泣いたんだ　ところで今夜は月が綺麗

(あのわくせいまでなんまんもじついやせば)

あの惑星まで何万文字費やせば

(いこじになるのはおのれのじんせいだから)

意固地になるのは己の人生だから

(きがくるうほどつんではくずしたかくなるほどにあしばはゆらぎ)

気が狂うほど積んでは崩し　高くなるほどに足場は揺らぎ

(じゅうりょくにていこうせよていこうせよていこうせよ)

重力に抵抗せよ　抵抗せよ　抵抗せよ

(そのさきをみたいわけじゃない)

その先を見たい訳じゃない

(さからってるだけさからってるだけ)

逆らってるだけ　逆らってるだけ

(そうしつとけつらくのくうはくうめるためにえらんだなにか)

喪失と欠落の空白　埋めるために選んだ何か

(じんせいにおいてくらくはわくせいにおけるえいせいのよう)

人生において苦楽は　惑星における衛星のよう

(じゅうりょくにしばられたぼくがあのほしへいくためのことば)

重力に縛られた僕が　あの星へ行く為の言葉

(こくどうにねころんでところでこんやはつきがきれい)

国道に寝転んで　ところで今夜は月が綺麗