フィクサー

(きょうまでのきおくのぜんぶをけしてしまうときまではねむれない)

今日までの記憶の全部を消してしまうときまで眠れない

(あしたからいきていくじぶんのみがわりがほしくてたまらない)

明日から生きていく自分の身代わりが欲しくて堪らない

(だいじょうぶといわせてあとからきみのせいにさせてはくれないか)

大丈夫と言わせて後から君のせいにさせてはくれないか

(いまさらいみないからあとからきみのせいにさせてはくれないか)

今更意味ないから後から君のせいにさせてはくれないか

(できないやくそくを)

できない約束を

(とうとうとあふれるひとことひとことばかりにのうをうばわれるくらい)

とうとうと溢れる一言一言ばかりに脳を奪われるくらい

(いみをなせないなにもできない)

意味を成せない何もできない

(みえないにげたいとびたいやめたいそらせない)

見えない逃げたい飛びたいやめたい逸らせない

(だからしずめしずめ)

だから沈め沈め

(いいあがれないほどまで)

言い上がれないほどまで

(あきるまで)

飽きるまで

(おとせおとせ)

落とせ落とせ

(すくいたらすときまで)

救い垂らすときまで

(うそあじのつぶつぶをのどからしめだしてひめいごとかみくだく)

嘘味の粒々を喉から締め出して悲鳴ごと噛み砕く

(えがおがへたなばっかでしったようなくちぶりにそってやりすごす)

笑顔が下手なばっかで知ったような口ぶりに沿ってやり過ごす

(なりたくなかった)

なりたくなかった

(きょうやくだつねむたいねむたいりそうですくわれることをまつ)

今日役立つ眠たい眠たい理想で救われることを待つ

(いちばんは「い」のくちでいう)

一番は「い」の口で言う

(ちからづよくかたくいたくかみしめて)

力強く固く委託噛み締めて

(しんでしまえしまえ)

死んでしまえしまえ

(このさきもかこもしらずきらいなら)

この先も過去も知らず嫌いなら

(こわせこわせ)

壊せ壊せ

(どうせならかがいしゃになればいい)

どうせなら加害者になればいい

(たべきれないいらだちもなにもうまれないかなしみも)

食べきれない苛立ちもなにも生まれない悲しみも

(あじけなくてはきだすまえにもうもうつぎをうたえ)

味気なくて吐き出す前にもう　もう次を歌え

(どうせならおどりおどれ)

どうせなら踊り踊れ

(はいいろになりきるまえにうちならせ)

灰色になり切る前に打ち鳴らせ

(かわれかわれ)

変われ変われ

(ねむりおちるまで)

眠り落ちるまで

(どうせなら)

どうせなら

(うばえうばえ)

奪え奪え

(かいならしたうそあばいて)

飼いならした嘘暴いて

(にえたぎるあたまによぎったきょぞうをみていた)

煮え滾る頭に過ぎった虚像を見ていた

(じぶんをみていた)

自分を見ていた