夏目漱石「こころ」3-66

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夏目漱石「こころ」3-66
下)先生と遺書
夏目漱石の「こころ」(下)でございます。
なるべく原文ママで問題を設定しておりますので、誤字なのか原文なのかややこしいとは思われますが最後までお付き合い下さい。

オリジナルの書き方・読み方については以下に載せますので、参考の程よろしくお願い致します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~22:見傚して(みなして)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ほどほどに長めとなっております。

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問題文

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(さんじゅうよん)

三十四

(「わたくしはけいにむかっておじょうさんといっしょにでたのかとききました。)

「私はKに向って御嬢さんと一所に出たのかと聞きました。

(けいはそうではないとこたえました。)

Kはそうではないと答えました。

(まさごちょうでぐうぜんであったからつれだってかえってきたのだとせつめいしました。)

真砂町で偶然出会ったから連れ立って帰って来たのだと説明しました。

(わたくしはそれいじょうにたちいったしつもんをひかえなければなりませんでした。)

私はそれ以上に立ち入った質問を控えなければなりませんでした。

(しかししょくじのとき、またおじょうさんにむかって、おなじといをかけたくなりました。)

然し食事の時、又御嬢さんに向って、同じ問を掛けたくなりました。

(するとおじょうさんはわたくしのきらいなれいのわらいかたをするのです。)

すると御嬢さんは私の嫌な例の笑い方をするのです。

(そうしてどこへいったかあててみろとしまいにいうのです。)

そうして何処へ行ったか中てて見ろと仕舞に云うのです。

(そのころのわたくしはまだかんしゃくもちでしたから、)

その頃の私はまだ癇癪持でしたから、

(そうふまじめにわかいおんなからとりあつかわれるとはらがたちました。)

そう不真面目に若い女から取り扱われると腹が立ちました。

(ところがそこにきのつくのは、)

ところが其所に気の付くのは、

(おなじしょくたくについているもののうちでおくさんひとりだったのです。)

同じ食卓についているもののうちで奥さん一人だったのです。

(けいはむしろへいきでした。)

Kは寧ろ平気でした。

(おじょうさんのたいどになると、しってわざとやるのか、)

御嬢さんの態度になると、知ってわざと遣るのか、

(しらないでむじゃきにやるのか、そこのくべつがちょっとはんぜんしないてんがありました。)

知らないで無邪気に遣るのか、其所の区別が一寸判然しない点がありました。

(わかいおんなとしておじょうさんはしりょにとんだかたでしたけれども、)

若い女として御嬢さんは思慮に富んだ方でしたけれども、

(そのわかいおんなにきょうつうなわたくしのきらいなところも、)

その若い女に共通な私の嫌なところも、

(あるとおもえばおもえなくもなかったのです。)

あると思えば思えなくもなかったのです。

(そうしてそのきらいなところは、)

そうしてその嫌なところは、

(けいがうちへきてから、はじめてわたくしのめにつきだしたのです。)

Kが宅へ来てから、始めて私の眼に着き出したのです。

など

(わたくしはそれをけいにたいするわたくしのしっとにきしていいものか、)

私はそれをKに対する私の嫉妬に帰して可いものか、

(またはわたくしにたいするおじょうさんのぎこうとみなしてしかるべきものか、)

又は私に対する御嬢さんの技巧と見傚して然るべきものか、

(ちょっとふんべつにまよいました。)

一寸分別に迷いました。

(わたくしはいまでもけっしてそのときわたくしのしっとしんをうちけすきはありません。)

私は今でも決してその時私の嫉妬心を打ち消す気はありません。

(わたくしはたびたびくりかえしたとおり、)

私はたびたび繰り返した通り、

(あいのうらめんにこのかんじょうのはたらきをあきらかにいしきしていたのです。)

愛の裏面にこの感情の働きを明らかに意識していたのです。

(しかもはたのものからみると、ほとんどとるにたりないさじに、)

しかも傍のものから見ると、殆んど取るに足りない瑣事に、

(このかんじょうがきっとくびをもちあげたがるのでしたから。)

この感情がきっと首を持ち上げたがるのでしたから。

(これはよだんですが、)

これは余談ですが、

(こういうしっとはあいのはんめんじゃないでしょうか。)

こういう嫉妬は愛の半面じゃないでしょうか。

(わたくしはけっこんしてから、このかんじょうがだんだんうすらいでいくのをじかくしました。)

私は結婚してから、この感情がだんだん薄らいで行くのを自覚しました。

(そのかわりあいじょうのほうもけっしてもとのようにもうれつではないのです。)

その代り愛情の方も決して元のように猛烈ではないのです。

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