拝啓、暁染める虹よ

(かはだれにしたためるおもいそめのようなねがいごと)

彼は誰に認める　思い初めのような願いごと

(はいけいあかつきそめるおもうきみよ)

拝啓、暁染める　想う君よ

(はなのなをひとつおしえすきなうたをよみおくって)

花の名を一つ教え　好きな詩を詠み贈って

(そんなふうにかならずくるあさやけをともにむかえたい)

そんなふうに必ず来る　朝焼けを共に迎えたい

(わすれじのそらになれ)

忘れじの空になれ

(きざすこころねはひどくせんさいで)

萌す心根は　ひどく繊細で

(うかぶじょうのねはしじまにこだまして)

浮かぶ情の根は　静寂に木霊して

(はなれていてもどこにいても)

「離れていても　どこにいても」

(しんじていればつうじあえる)

「信じていれば　通じ合える」

(なによりもたいせつだからだれよりもおもってるから)

「何よりも大切だから　誰よりも想ってるから」

(ひするにじになって)

秘する虹になって

(うつむかないでいとしなないろどうしてなみだはとうめいだろう)

俯かないで　愛し七色　どうして涙は透明だろう

(ひがにじむはくぼのようになきもよおすそらのように)

日が滲む薄暮のように　泣き催す空のように

(こころにいろをともすことができたなら)

心に色を灯すことが出来たなら

(あめなしではきっとにじがないというのならこのおもいはなんなの)

雨なしではきっと虹がないと　いうのならこの想いは何なの

(かなしみのかげりもなくかかるものは)

悲しみの翳りもなく　架かるものは

(いつだってむねいっぱいのあい)

いつだって　胸いっぱいの愛

(こぼれてくことばをかきあつめ)

こぼれてく　言葉を搔き集め

(ぼやけてくまえにかきとめてく)

ぼやけてく　前に書き留めてく

(ほんのすこしでもいまのきもちをのこすように)

ほんの少しでも　今の気持ちを残すように

(もののあはれかはわからないけれど)

もののあはれかは　わからないけれど

(ふみにえいえんをのぞんでしまうんだよ)

文に永遠を　望んでしまうんだよ

(すぎてくけしきをいっしょにみたくて)

「過ぎてく景色を一緒に見たくて」

(かわらぬうつくしさをきりとりたくて)

「変わらぬ美しさを切り取りたくて」

(そんなむじゅんがいまをよりかけがえのないものにさせてく)

「そんな矛盾が　今をよりかけがえのないものにさせてく」

(はいけいいとしきみへとどいてればいい)

拝啓、愛し君へ　届いてればいい

(とどいてればいいこころばかりだって)

届いてればいい　心許りだって

(どうしたってつたえたいことは)

どうしたって　伝えたいことは

(つたえたいことはことばじゃたりなくて)

伝えたいことは　言葉じゃ足りなくて

(かけないおもいをもじのかすれはしる)

書けない想いを　文字の掠れは知る

(おくるてがみがしおりになって)

贈る手紙が　栞になって

(よみかえすたびあのひにもどってく)

読み返すたび　あの日に戻ってく

(おしえてくれたいとしなないろいとけないおもはゆいかんじょう)

教えてくれた　愛し七色　稚い面映い感情

(はるなつのはなえみをあきふゆのさびしさを)

春夏の花笑みを　秋冬の寂しさを

(わすれないでとおもうひとのぬくもりを)

忘れないでと想う人の温もりを

(そらのむこうにじをかくしたんだよ)

空の向こう虹を隠したんだよ

(だれにもみつからないようにと)

誰にも見つからないようにと

(あとはけっしてなみだしないでとねがい)

あとは決して涙しないでと願い

(あふれさすめいっぱいのあい)

溢れさす　目一杯の愛

(あかつきそめるにじよ)

暁染める　虹よ