水の泡／詩道

(またひはくれてしまった)

また日は暮れてしまった

(まちはすこしずつかげをおとしながら)

街は少しずつ影を落としながら

(ひとなみをかきまぜてあわだてる)

人波をかき混ぜて泡立てる

(いきばをなくしたためいきも)

行き場を無くした溜め息も

(やりばのないおもいやはなしもぜんぶ)

やり場のない想いや話も全部

(よるにとかして)

夜に溶かして

(まるでひびはたんさんすいのふれーばー)

まるで日々は炭酸水のフレーバー

(いたみなくしてはのみこめない)

痛み無くしては飲み込めない

(わずかなあまさもまたたくうちに)

わずかな甘さも瞬く内に

(はじけてかこになる)

弾けて過去になる

(ゆめはたんさんすいのしぶき)

夢は炭酸水の飛沫

(つよくそそぐほど)

強く注ぐほど

(おもいがけずにきえる)

思いがけずに消える

(もういいや)

もういいや

(こいだって、あいだって)

恋だって、愛だって

(わりにあわないじゃないか)

割に合わないじゃないか

(ずっと、さよならのとちゅうにいるだけ)

ずっと、さよならの途中にいるだけ

(そういってねむった)

そう言って眠った

(きのぬけたさいだーのように)

気の抜けたサイダーのように

(しょせん、ぼくらはみずのあわ)

所詮、僕らは水の泡

(そこにのこるさいごのひとくちを)

底に残る最後の一口を

(いつまでものみほさないまま)

いつまでも飲み干さないまま

(じかんをつなぎとめたきになっている)

時間を繋ぎ止めた気になっている

(なにかおもいのこしたことがあったような)

何か思い残したことがあったような

(そんなきがするのは)

そんな気がするのは

(なぜなんだろう)

なぜなんだろう

(はっきりとしないりんかくを)

はっきりとしない輪郭を

(なんとかふちどろうとする)

なんとか縁取ろうとする

(ことばだったり)

言葉だったり

(こころだったり)

心だったり

(いまだってそうでしょう？)

今だってそうでしょう？

(おぼろげなかたちのあわになって)

朧げな形の泡になって

(むすうにちゅうをただよっている)

無数に宙を漂っている

(せかいがたんさんすいのすいそうにみえた)

世界が炭酸水の水槽に見えた

(もういいや)

もういいや

(こいだって、あいだって)

恋だって、愛だって

(わりにあわないじゃないか)

割に合わないじゃないか

(ずっと、さよならのとちゅうにいるだけそういってねむった)

ずっと、さよならの途中にいるだけそう言って眠った

(きのぬけたさいだーのように)

気の抜けたサイダーのように

(でも、)

でも、

(もういいや、なんて)

もういいや、なんて

(かんたんにひとはわりきれるもんじゃないからずっと、)

簡単に人は割り切れるもんじゃないからずっと、

(いきくるしくたっていきをする)

生き苦しくたって息をする

(そうやってぼくらはなにかのこそうと)

そうやって僕らは何か残そうと

(しているあわいゆめのなかで)

している淡い夢の中で

(すべてがたとえみずのあわだとしても)

全てがたとえ水の泡だとしても