夏実/AKASAKI

(すっぱいかじつにさそわれたの)

酸っぱい果実に誘われたの

(ほらきみのめがもうゆらいでる)

ほら、君の目がもう揺らいでる

(あのはちがつにうばわれたの)

あの八月に奪われたの

(きみとぼくのおもいで)

君と僕の想いで

(やるせないこのきもちと)

やるせないこの気持ちと

(なつにおいてかれたぼく)

夏に置いてかれた僕

(きみもさおなじきもちなのかな)

君もさ　同じ気持ちなのかな

(りんとしうつくしくせつないきみのからだはさ)

凛とし美しく切ない君の身体はさ

(どこかかじつのにおいがしたの)

どこか果実の匂いがしたの

(はかないくうきがぼくをおしよせ)

儚い空気が　僕を押し寄せ

(いまにたえれずきみをさがした)

今に耐えれず　君を探した

(あるはずもないあしあとをたどるさきで)

あるはずもない　足跡をたどる先で

(ぼくはがけのしたから)

僕は崖の下から...

(すっぱいかじつにさそわれたの)

酸っぱい果実に誘われたの

(ほらぼくのめにくるいはなくて)

ほら、僕の目に狂いはなくて

(あのはちがつにうばわれたの)

あの八月に奪われたの

(きみとのぼくのおもいで)

君との僕の想いで

(まばゆいこおりがとけたはざまで)

眩い氷が溶けた狭間で

(きみのすがたもあいまいになる)

君の姿も曖昧になる

(いまからそこへぼくもいくから)

今からそこへ僕も行くから

(なみだをふいてまっててね)

涙を拭いて待っててね

(きみはさわざとらしいえがおをするひとだね)

君はさ　わざとらしい笑顔をする人だね

(そのかおひとみがぼくをえぐるの)

その顔　瞳が僕をえぐるの

(あのひのがいろじゅきすをかわした)

あの日の街路樹　キスをかわした

(つらさとともになみだしたきみ)

辛さと共に　涙した君

(こぼれるきおくうれたあいすらも)

こぼれる記憶　熟れた愛すらも

(きみのもとへはこぶから)

君の元へ運ぶから

(すっぱいかじつにさそわれたの)

酸っぱい果実に誘われたの

(ほらきみのめにくるいはなくて)

ほら、君の目に狂いはなくて

(ぼくをやさしくつつみこむから)

僕を優しく包み込むから

(まよいなんてなかったよ)

迷いなんてなかったよ

(まばゆいこおりがとけたはざまで)

眩い氷が溶けた狭間で

(ぼくのすがたがきみとかさなる)

僕の姿が君と重なる

(ふいにあらわれきみをだきよせたら)

不意に現れ　君を抱き寄せたら

(あぁなんていうのかな)

あぁ　なんて言うのかな

(てもちぶさたのだえきが)

手持ち無沙汰の唾液が

(すっぱいにおいのさきにきみは)

酸っぱい匂いの先に君は

(うずくまりつつぼくをさそうように)

うずくまりつつ僕を誘うように

(ぼくをえぐりつかまえたの)

僕を抉り捕まえたの

(まだいきているかのように)

まだ生きているかのように

(すぐそこにみえたよほらそのまま)

すぐそこに見えたよ　ほらそのまま

(ぼくのてをとりひきよせてくれ)

僕の手を取り引き寄せてくれ

(ひさしぶりだね)

久しぶりだね

(もうにどとあえないとおもったよ)

もう二度と逢えないと思ったよ

(ごめんね)

ごめんね

(すっぱいかじつにさそわれたの)

酸っぱい果実に誘われたの

(ほら、ぼくたちはもうゆらいでる)

ほら、僕達はもう揺らいでる

(そらにまいながらあたまをめぐる)

空に舞いながら頭を巡る

(きみとぼくのおもいで)

君と僕の思い出