singing

(これはたあいもないうたひとりへやをなぞるうた)

これは他愛もない歌　一人部屋をなぞる歌

(だれのみみもかすめないぼくのためのうた)

誰の耳もかすめない　僕のための歌

(まどのそとをとびかうのいずはどこかとおくで)

窓の外を飛び交う　雑音はどこか遠くで

(きょうもだいじにひとつくちずさむうた)

今日も大事にひとつ　口ずさむ歌

(ひとつつたえたいのはむせかえるようなむりょくかん)

ひとつ伝えたいのは　むせかえるような無力感

(からのうつわへまたうそをそそいでいく)

空の器へまた嘘を注いでいく

(ふたつかぞえねがうのはとてもたんじゅんなこと)

ふたつ数え願うのは　とても単純なこと

(ほかのだれともちがうものでありたいだけ)

他の誰とも違う者でありたいだけ

(いつもかんじんなとこでむかいかぜなれっこなじぶんと)

いつも肝心なとこで向かい風　慣れっこな自分と

(はろーやつれたこえかさなってあすがみえなくても)

「「ハロー」」やつれた声重なって　明日が見えなくても

(あさやけそめるまちしはつれっしゃにのり)

朝焼け染める街　始発列車に乗り

(たいくつなひびをむさぼっていくぶかっこうなけもの)

退屈な日々を貪っていく　不格好な獣

(まるごしのゆうしゃにあたえられていたまほうはただひとつ)

丸腰の勇者に与えられていた魔法はただひとつ

(うたうことだけ)

歌うことだけ

(それはとつぜんのことひどくぐうぜんなこと)

それは突然のこと　ひどく偶然なこと

(なりだすへっどふぉんかけるみゅーじっく)

鳴りだすヘッドフォン×ミュージック

(きみへもっときみともっとねえ)

君へ　もっと　君と　もっと　ねえ

(てさぐりのつたないめろでぃがねつをおびだしていく)

手探りのつたないメロディが　熱を帯びだしていく

(たったいちびょうのできごとでせかいがかわってしまっても)

たった一秒の出来事で世界が変わってしまっても

(くらがりのむこうからてをのばしてくれた)

暗がりのむこうから　手を伸ばしてくれた

(むずがゆくってなんかつかめなくてこくうをさまようよ)

むず痒くってなんか掴めなくて　虚空をさまようよ

(ふるえるこのこえはどうしようもないくらいに)

震えるこの声はどうしようもないくらいに

(ありがとうつたえたいだけ)

「ありがとう」伝えたいだけ

(あさやけそめるまちしはつれっしゃにのり)

朝焼け染める街　始発列車に乗り

(すばらしきひびをいろどっていくむしんけいなけもの)

素晴らしき日々を彩っていく　無神経な怪物

(よわむしなゆうしゃのたあいもないすとーりーをてらすのは)

弱虫な勇者の　他愛もないストーリーを照らすのは

(ただうたうことだけ)

ただ　歌うことだけ