レイニー

(ぼくがもつべきものはきみさりりぃ)

僕が持つべき者は貴方さ、莉々

(しょくたくにならぶぎねん)

餐卓に並ぶ疑念

(ちんもくがおりる)

沈黙が降りる

(だしてだして)

奪して、奪して

(そのままくちにだして)

其儘、口に出して

(わからないがわからないのだ)

わからないが解らないのだ

(こうしてこうして)

抗して、斯して

(もどれないひびをさらう)

戻れない日々を拐う

(びょういでへやをでる)

病衣で部屋を出る

(よるをぬすもう)

夜を盗もう

(かさもささずとびだした)

傘も差さず飛び出した

(みずたまりをあらしまった)

水溜りを荒らし舞った

(みぎてにかんじるねつをおもいふけった)

右手に感じる熱を想い耽った

(ちょうはあめをよきしさった)

蝶は雨を予期し去った

(まほうがぼくらをてらした)

魔法が僕等を照らした

(ここにおいでみんすとれる)

此処においで、ミンストレル

(たったらたぬれたいしだたみのうえ)

たったらた 濡れた石畳の上

(たったらたあおきわるつをおどった)

たったらた 蒼きワルツを踊った

(きみとならばしょくしょうぎみのふこうも)

貴方とならば食傷気味の不幸も

(そいとげてあげるから)

添い遂げて擧げるから

(こうかいをわかちあおう)

後悔を分かち合おう

(たぎるわいんぐらすのそこかしがのぞく)

滾るワイングラスの底 瑕疵が覘く

(ゆがみうつりこむねがおかすかなこきゅう)

歪み映り込む寝顔 微かな呼吸

(ひたすらとわをいのって)

只管、永遠を祈って

(ないとてーぶるをともして)

ナイトテーブルを灯して

(しーつをよごしてよるをなくした)

シーツを汚して夜を亡くした

(あまくくびすじをかんだ)

甘く頸筋を噛んだ

(きずあとをゆびでだつぬった)

傷痕を指で捺塗った

(すべてぼくのせいにしよう)

全て僕の所為にしよう

(たったらたはいりこむひざしが)

たったらた 入り込む陽射しが

(たったらたこれでおわりみたいで)

たったらた 是で了りみたいで

(こうふくのあいずをてをあげてかかげた)

幸福の合図を手を擧げて掲げた

(ふたりだけのかーてんこーる)

二人だけのカーテンコール

(いまだけはそらもとべる)

今だけは空も飛べる

(れいにぃれいにぃ)

レイニィ、レイニィ

(くちはてたきょうかいでこえをひそめた)

朽ち果てた教会で聲を潜めた

(れいにぃれいにぃ)

レイニィ、レイニィ

(かなぐりすててまでのぞんだみらいを)

挘り捨てて迄、望んだ未来を

(あいにーあいにー)

爱你、爱你

(いとしくかんじているんだ)

愛しく感じているんだ

(ひたいをおしつけあった)

額を押し附け合った

(ばからしくてわらった)

馬鹿らしくて笑った

(しゃそうにかいろせい)

車窓に薤露青

(きしゃのはんけんはもった)

汽車の半券は持った

(わすれものはないよあんどれい)

忘れ物はないよ、アンドレイ

(れいじのとうちゃくをまつ)

零時の到着を待つ

(せいざばんがしめしたかねがなるほうがくへ)

星座盤が示した鐘が鳴る方角へ

(むかえはいらないいっしょにいこう)

迎えは要らない 一緒に征こう

(みまちがえるほどにはれわたったそらへ)

見間違える程に晴れ渡った空へ

(しゃりょうがとびたっていく)

車輛が飛び立って征く

(たったらたたったらたあ)

たったらた たったらた あ

(ひとみがかげったひとみがぼくをうばった)

瞳が翳った 瞳が僕を奪った

(なきはらしたさいごに)

泣き腫らした最後に

(あなたとわらいあえたら)

貴方と笑い合えたら

(どれすこーどをめして)

「ドレスコードを召して。」