他愛ない物語

(やけたせびょうしがかすれて)

焼けた背表紙が掠れて

(ぜんぶかこになっていく)

全部過去になっていく

(くちづたえされるしんじつはひとのおもいだけ)

口伝えされる真実は人の想いだけ

(なあ、おしえてくれよ)

「なあ、教えてくれよ」

(なんてきみはわらうけれど)

なんて君は笑うけれど

(こんなよるにあきのよるに)

こんな夜に　秋の夜に

(まなぶべきものがたりならもう、)

学ぶべき物語なら　もう、

(いつまでもこんなふうによるがつづけばいいのに)

いつまでもこんなふうに夜が続けばいいのに

(ほんとはそうおもうけど)

ほんとはそう思うけど

(おわりがくるからこそ)

終わりがくるからこそ

(きっといまがあるんだね)

きっと今があるんだね

(ふたりきり、たわいないすとーりー)

二人きり、他愛ないストーリー

(きみのかなしみにくしみが)

君の悲しみ憎しみが

(きみをかたちづくる)

君を形作る

(それでかまわない)

それで構わない

(れきしはそういうものだから)

歴史はそういうものだから

(ああ、おしえられることなんて)

ああ、教えられることなんて

(そんなのないよだって)

そんなのないよ　だって

(えんでぃんぐをかきこむのはきみだもの)

エンディングを書き込むのは君だもの

(このものがたり、)

この物語、

(すてきなおはなしになるといい)

すてきなお話になるといい

(ふしのにんげんとはんじゅうのつむぐぺーじ)

不死の人間と半獣の紡ぐページ

(ひとりぼっちのにんげんはけものとであい、)

「ひとりぼっちの人間は獣と出逢い、

(わかちあい、しあわせにくらしたとさ)

分かち合い、幸せに暮らしたとさ」

(そんなたわいないすとーりー！)

そんな他愛ないストーリー！

(おわりがきて)

終わりがきて

(ながいよるに)

永い夜に

(どんなにとおいみらいのはなしだって)

どんなに遠い未来の話だって

(それでもいま、)

それでも今、

(つきがうつくしいからね)

月が美しいからね

(かなしいこと)

悲しいこと

(つらいことやたのしいことも)

辛いことや　楽しいことも

(ぜんぶかきこんだのなら)

全部書き込んだのなら

(わたしだって、きみのなかでえいえんになれる)

私だって、君の中で永遠になれる

(きみのことを)

君のことを

(もっとおしえて)

もっと教えて

(もっとおしえて)

もっと教えて

(つきもしらないことを)

月も知らないことを

(だってさいま、よるがうつくしいからね)

だってさ今、夜が美しいからね

(きみにとっていっしゅんだって、)

君にとって一瞬だって、

(いっしゅんだってきみといられたこと)

一瞬だって君といられたこと

(わたしのものがたりの、いちばんたいせつなすとーりー)

私の物語の、一番大切なストーリー

(たわいないものがたり)

他愛ない物語

(かけがえないものがたり)

かけがえない物語