先生 前編 -6-

背景
投稿者投稿者蛍☆いいね1お気に入り登録
プレイ回数87順位1476位  難易度(4.5) 3240打 長文 長文モードのみ
師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
cicciさんのアカウント
https://typing.twi1.me/profile/userId/130158
順位 名前 スコア 称号 打鍵/秒 正誤率 時間(秒) 打鍵数 ミス 問題 日付
1 berry 7865 7.9 98.4% 401.0 3203 49 65 2025/04/14
2 たけ 3700 D+ 3.8 95.1% 821.8 3204 163 65 2025/04/14

関連タイピング

問題文

ふりがな非表示 ふりがな表示

(ひまわりがさいているみちをきょろきょろしながらあるいていると、)

ひまわりが咲いている道をキョロキョロしながら歩いていると、

(そこはやまにかこまれたあんがいちいさなしゅうらくだときづく。)

そこは山に囲まれた案外小さな集落だと気づく。

(だんだんばたけがやまのしゃめんにならんでいて、うもれるようにいえがぽつんぽつんとある。)

段々畑が山の斜面に並んでいて、埋もれるように家がぽつんぽつんとある。

(みちにはたいようがふりそそぐばかりで、ほかにあるくひとのかげもみえない。)

道には太陽が降り注ぐばかりで、ほかに歩く人の影も見えない。

(ぼくはこうばいのなだらかなさかみちをのぼっておおきなやねがみえているばしょへむかった。)

僕は勾配のなだらかな坂道を登って大きな屋根が見えている場所へ向かった。

(あせをぬぐいながらのぼりきると、そこにはひろいにわともくぞうにかいだての)

汗を拭いながら登り切ると、そこには広い庭と木造二階建ての

(ふるそうないえがあった。)

古そうな家があった。

(とてもおおきい。にわも、にわというよりひろばみたいなかんじ。)

とても大きい。庭も、庭というより広場みたいな感じ。

(すみっこのほうにてつぼうとすなばがみえる。)

隅っこの方に鉄棒と砂場が見える。

(あれ?なんだかがっこうみたいだな、とおもったけれどがっこうにしてはちいさすぎる。)

あれ?なんだか学校みたいだな、と思ったけれど学校にしては小さすぎる。

(すくなくともぼくのしっているものよりは。)

少なくとも僕の知っているものよりは。

(そのとき、にかいのまどにだれかいるのにきがついた。)

その時、二階の窓に誰かいるのに気がついた。

(かぜがふいて、ぼくのかみがゆれるのとどうじにそのひとのかみもゆれた。)

風が吹いて、僕の髪が揺れるのと同時にその人の髪も揺れた。

(くろくてながいかみ。しろいふく。おんなのひとだ。)

黒くて長い髪。白い服。女の人だ。

(まどぎわにほおづえをついて、ぼうっとひろばのすみをみている。)

窓際に頬杖をついて、ぼうっと広場の隅を見ている。

(なんだかむねがどきどきした。ぼくはひろばのまんなかにつったって)

なんだか胸がドキドキした。僕は広場の真ん中に突っ立って

(そのひとをみあげていた。)

その人を見上げていた。

(でもいつまでたってもそのひとはこっちにきづくけはいはなかった。)

でもいつまで経ってもその人はこっちに気づく気配はなかった。

(ぼくはほういじしんをぽけっとにしまってから、あのぅ、といった。)

僕は方位磁針をポケットに仕舞ってから、あのぅ、と言った。

(あんまりこえがちいさかったので、すぐに「すみません」といいなおした。)

あんまり声が小さかったので、すぐに「すみません」と言い直した。

など

(それでもそのひとはきづいてくれず、ぼうっとしたままそとをみていた。)

それでもその人は気づいてくれず、ぼうっとしたまま外を見ていた。

(なんだかはずかしくなってきてかえりたくなったけれど、)

なんだか恥ずかしくなってきて帰りたくなったけれど、

(もういっかいこえをはりあげた。)

もう一回声を張り上げた。

(「すみませぇん」)

「すみませぇん」

(つぎのしゅんかんなにかがはじけたようなかんじがした。そのひとがこっちをみた。)

次の瞬間なにかが弾けたような感じがした。その人がこっちを見た。

(わ、どうしよう。たしかに、ぱちんというかんじにせかいがはじけたのだ。)

わ、どうしよう。確かに、ぱちんという感じに世界が弾けたのだ。

(そのひとはさいしょおどろいたようなかおをして、つぎにぼうっとしていていたじかんが)

その人は最初驚いたような顔をして、次にぼうっとしていていた時間が

(さったのをおしむようなかなしいかおをして、)

去ったのを惜しむような哀しい顔をして、

(それからさいごににっこりとわらうと「こんにちは」といった。)

それから最後ににっこりと笑うと「こんにちは」と言った。

(ぼくにだ。ぼくに。)

僕にだ。僕に。

(「どうしたの」)

「どうしたの」

(そのひとはまどからすこしのりだしてみぎてをくちもとにそえる。)

その人は窓から少し乗り出して右手を口元に添える。

(「ここはどこですか」とぼくはつまらないことをきいてしまった。)

「ここはどこですか」と僕はつまらないことを聞いてしまった。

(なにかもっときのきいたことがいえたらよかったのに。)

なにかもっと気の利いたことが言えたら良かったのに。

(「ここはね、がっこうなの」)

「ここはね、学校なの」

(「え?」)

「え?」

(「がっ・こ・う。ね、あがってこない?すぐそこがげんかん。)

「がっ・こ・う。ね、上がってこない?すぐそこが玄関。

(げたばこにすりっぱがあるからはいてらっしゃい」)

下駄箱にスリッパがあるから履いてらっしゃい」

(「は、はい」)

「は、はい」

(とぼくはあわててそのたてもののげんかんにむかった。あけはなしのとびらのむこうに、)

と僕は慌ててその建物の玄関に向かった。開け放しの扉の向こうに、

(ほこりっぽいげたばこといたじきのろうかがあった。)

埃っぽい下駄箱と板敷の廊下があった。

(でんきなんかついていなかったけれど、がらすまどからあかるいひざしが)

電気なんかついていなかったけれど、ガラス窓から明るい日差しが

(さしこんできてなかのようすがよくみえた。さゆうにのびるろうかには)

差し込んできて中の様子がよく見えた。左右に伸びる廊下には

(「いち、にねんせい」や「さん、よねんせい」とかいてあるしろいいたがかべから)

「一、二年生」や「三、四年生」と書いてある白い板が壁から

(でっぱっていて、そのむこうにはちいさなきょうしつがあるみたいだった。)

出っ張っていて、その向こうには小さな教室があるみたいだった。

(げんかんのむかいにはすぐにかいだんがあって、ぼくはおそるおそるあしをふみだす。)

玄関の向かいにはすぐに階段があって、僕は恐る恐る足を踏み出す。

(なにしろかたあしをのっけただけでぎしぎしというふるぼけたきのかいだんなのだ。)

なにしろ片足を乗っけただけでギシギシという古ぼけた木の階段なのだ。

(せまいおどりばのかべにはがびょうのあとと、えかなにかのきれはしがくっついていた。)

狭い踊り場の壁には画鋲の跡と、絵かなにかの切れ端がくっついていた。

(にかいにつくといちかいとおなじようないたじきのろうかがのびていて、)

二階に着くと一階と同じような板敷きの廊下が伸びていて、

(そのひだりてがわのきょうしつからさっきのおんなのひとがてをふっていた。)

その左手側の教室からさっきの女の人が手を振っていた。

(「いらっしゃい」)

「いらっしゃい」

(ぼくはなんてへんじしていいかこまったあげく、「どうも」といった。)

僕はなんて返事していいか困った挙句、「どうも」と言った。

(そのひとはくすりとわらうと、「ここはね、むかしはしょうがっこうだったの。)

その人はくすりと笑うと、「ここはね、むかしは小学校だったの。

(いまはもうやってないけど。こどもがへったのね」と、ぼくをきょうしつのなかにさそった。)

今はもうやってないけど。子どもが減ったのね」と、僕を教室の中に誘った。

(しろいいたには「ろくねんせい」とかいてあった。)

白い板には「六年生」と書いてあった。

(ちいさなきょうしつにはつくえがいつつあった。)

小さな教室には机が五つあった。

(それがさいごのそつぎょうせいのかずだったのかもしれない。ぼくはたくさんのつくえが)

それが最後の卒業生の数だったのかも知れない。僕はたくさんの机が

(ぎゅうぎゅうにつまっているじぶんのがっこうのきょうしつをおもいうかべて、)

ぎゅうぎゅうに詰まっている自分の学校の教室を思い浮かべて、

(なんだかめのまえのそれがおもちゃのようにみえてしかたがなかった。)

なんだか目の前のそれがおもちゃのように見えて仕方がなかった。

(そのひとはつくえにてをふれながら、あかるいひょうじょうでいう。)

その人は机に手を触れながら、明るい表情で言う。

(「もともとこのとちはわたしのいえのものだったから、はいこうになったあと)

「もともとこの土地は私の家のものだったから、廃校になったあと

(かえしてもらったのよ。ぼろのこうしゃつきでね。こわしてもいいんだけど、)

返してもらったのよ。ボロの校舎付きでね。壊してもいいんだけど、

(いまはいえにわたしとははがいるだけだからおうちなんてちいさくてもいいもの。)

今は家に私と母がいるだけだからおうちなんて小さくてもいいもの。

(ほら、こうしゃのすぐよこにひらやがあったでしょ。あそこにすんでるのよ」)

ほら、校舎のすぐ横に平屋があったでしょ。あそこに住んでるのよ」

(そういわれればあったきがする。)

そう言われればあった気がする。

問題文を全て表示 一部のみ表示 誤字・脱字等の報告

蛍☆のタイピング

オススメの新着タイピング

タイピング練習講座 ローマ字入力表 アプリケーションの使い方 よくある質問

人気ランキング

注目キーワード