車窓

(とうにひびわれていた)

とうにひび割れていた

(ぜんあくのうらがわ)

善悪の裏側

(よわねをみせたらまけのばくち)

弱音を見せたら負けの博打

(かいだんとすろーぷのはざま)

階段とスロープの狭間

(ざいあくのたまりば)

罪悪の溜まり場

(はいてすてるようなしょうがい)

掃いて捨てるような生涯

(うみにほねをまいたらさ)

海に骨を撒いたらさ

(このこころもとおくとべるのかな)

この心も遠く飛べるのかな

(それでいいなら)

それでいいなら

(いますぐここでいきたえるよ)

今すぐここで息絶えるよ

(すみにおかれたかびんに)

隅に置かれた花瓶に

(こうかいとてがみをつめこんだら)

後悔と手紙を詰め込んだら

(いますぐゆくからそこでまっていて)

今すぐ行くからそこで待っていて

(かいそくがいまとまって)

快速が今止まって

(よていはずれの)

予定外れの

(けしきといままでのこのじかんが)

景色と今までのこの時間が

(かいそうにひたらせてくれないのさ)

回想に浸らせてくれないのさ

(みすかしたようなかおでぼくのほうを)

見透かしたような顔で僕のほうを

(みないでよ)

見ないでよ

(しゃそうからながめたすいへいせんに)

車窓から眺めた水平線に

(きえてしまいたいとおもった)

消えてしまいたいと思った

(ここではないどこかへ)

ここではない何処かへ

(ほらつれてって)

ほら連れてって

(うみにほねをまいたらさ)

海に骨を撒いたらさ

(このこころはみたされるのだろうか)

この心は満たされるのだろうか

(そんなわけないと)

そんなわけないと

(ほんとうはわかっているでしょう)

本当は分かっているでしょう

(すみにおかれたかびんに)

隅に置かれた花瓶に

(つめこむてがみはまだはくしのまま)

詰め込む手紙はまだ白紙のまま

(まだゆけないことを)

まだ逝けないことを

(どうかゆるしておくれ)

どうか許しておくれ