瓦礫の塔

(しろいはなさく)

白い花　咲く

(ことばのちへいと)

言葉の地平と

(おもかげいしのとうだい)

オモカゲ石の　灯台

(なんだずいぶんひさしぶりだ)

なんだ　随分　久しぶりだ

(かわらないのはくちぐせ)

変わらないのは　口癖

(なつのよいには)

夏の宵には

(せかいをちゃかしあい)

世界を茶化しあい

(としをかぞえてはわらった)

歳を数えては　笑った

(ないだそらをおぼえている)

凪いだ空を　覚えている

(ときをとめてもひかるよ)

時を止めても　光るよ

(がれきのとうで)

瓦礫の塔で

(きみがうたった)

君が唄った

(きえないすいせいみたいなららばい)

消えない彗星みたいな　ララバイ

(いえなかった)

言えなかった

(なにもいえなくてよかった)

何も言えなくて　よかった

(あんまりにきれいなせいじゃくだ)

あんまりに　きれいな静寂だ

(あいしてた)

愛してた

(さいごまでさいごまで)

最後まで　最後まで

(ひげきというには)

悲劇と云うには

(おさないあおいろだ)

幼い青色だ

(みかんのぼくらをつづけよう)

未完の僕らを　続けよう

(とおくたかくつみあげる)

遠く　高く　積み上げる

(かけがえのないがらくた)

かけがえのない　がらくた

(わすれるようにひとつになるように)

忘れるように　一つになるように

(かわりはててもあるくよ)

変わり果てても　歩くよ

(いつかちゃんとつかれたら)

いつか　ちゃんと　疲れたら

(いっしょにわらってくれるかい)

一緒に　笑ってくれるかい

(がれきのとうで)

瓦礫の塔で

(かぜにすてた)

風に棄てた

(きえゆくゆうけいみたいなばいばい)

消え往く夕景みたいな　バイバイ

(またあおうね)

また逢おうね

(めがさめたらいくよ)

目が覚めたら　行くよ

(あいかわらずさんざんなまいにちへ)

相変わらず　散々な毎日へ

(さいごまでさいごまで)

最後まで　最後まで

(さいごまで)

最後まで