嘘と慟哭（ふぉれすとぴれおｆｅａｔ.ランコ

(かたるものさえもはやとだえるほどには)

語る者さえもはや　途絶えるほどには

(はるかとおくにかききえたきおくはそなりていくせいそう)

悠か遠くに掻き消えた　記憶は疎なりて幾星霜

(ならんでよりそうひととおにのすがた)

並んで寄り添う人と鬼の姿

(うたがうことをしらぬほどちいさなちいさなそのすがた)

疑うことを知らぬほど小さな小さなその姿

(しんらいのそのあかしゆびきりげんまんひとつ)

信頼のその証　指きりげんまん一つ

(ちかったはうそをつかぬこと)

誓ったは嘘を吐かぬこと

(ずっとそばにいるよようちなやくそくひとつ)

ずっと傍にいるよ　幼稚な約束一つ

(おとぎのくにのこいものがたりならびたつかげふたついぎょうかたどる)

御伽の国の恋物語　並び立つ影二つ異形象る

(まだみぬいくすえかたるがごとく)

まだ見ぬ行く末　語るが如く

(どこといくさきわからぬかぜがなく)

どこと行く先わからぬ　風が哭く

(かたるものさえもはやとだえたほどには)

語る者さえもはや　途絶えたほどには

(はるかとおくそこにあったみつなるきずなはかわらずに)

悠か遠くそこにあった　密なる絆は変わらずに

(ならんでよりそうひととおにのすがた)

並んで寄り添う人と鬼の姿

(しんずることにあかぬほどいとしいいとしいそのすがた)

信ずることに飽かぬほど愛しい愛しいその姿

(やくそくをかわしあうたいするひとののぞみは)

約束を交わしあう　対する人の望みは

(けしてなみだはみせぬことおにのなきがおなんぞはみたくはないのだと)

けして涙は見せぬこと　鬼の泣き顔なんぞは　見たくはないのだと

(おとぎのくにのこいものがたりいくよのはてにふたりはちぎりをかわす)

御伽の国の恋物語　幾夜の果てに二人は契りを交わす

(ならばわらおうとみらいをかたる)

ならば笑おうと　未来を語る

(それはどこまでもしあわせなすがた)

それはどこまでも　幸せな姿

(いくとしがすぎさってはたとかえらないかれは)

幾年が過ぎ去って　はたと帰らない彼は

(ゆくえをさがされるままかわりはてたそのすがたあわれなおににさらした)

行方を探されるまま　変わり果てたその姿　哀れな鬼に晒した

(おとぎのくにのこいものがたりやとうかそれともはてはあやかしのしわざか)

御伽の国の悲恋物語　夜盗かそれとも果ては妖怪の仕業か

(にどとうごかぬそのすがたから)

二度と動かぬその姿から

(もはややくそくなどやぶられたのだとしった)

もはや約束など破られたのだと知った

(ほうこうどうこくだいちゆらすもはやものいわぬむくろのまえで)

咆哮　慟哭　大地揺らす　もはや物言わぬ骸の前で

(うそつきめうらぎりものめやくそくひとつまもれぬなんじゃくものめ)

｢嘘つきめ！　裏切り者め！　約束一つ守れぬ軟弱者め…！！｣

(きゅうだんのこえもついにはむなしくひびくのみ)

糾弾の声も遂には虚しく響くのみ

(さけびはてつかれはてたちつくすおにのめには)

叫び果て、疲れ果て、立ち尽くす、鬼の目には、

(なみだ)

ー涙。