設定温度

(いぬがだれかのかげにおびえてうなりごえあげるような)

犬が誰かの影に怯えて 唸り声上げるような

(まどのそとにあるしつがいきがむしあつさのかがいしゃ)

窓の外にある室外機が 蒸し暑さの加害者

(きみってどうしてあせをかかないんだろう？)

君ってどうして 汗をかかないんだろう？

(へいきなかおしてへやのすみでなつをむししてる)

平気な顔して部屋の隅で 夏を無視してる

(おとをけしたふるいてれびじょんは)

音を消した古いテレビジョンは

(なにもつたえることがない)

何も伝えることがない

(ぼくだけどうしてこんないらだつのか)

僕だけどうして こんな苛立つのか

(いまもきみのことをあいしてても)

今も君のことを 愛してても

(このえあこんのせっていおんど)

このエアコンの設定温度

(きみとぼくはきっとすれちがっているんだ)

君と僕はきっとすれ違っているんだ

(すこしさげればすずしくなると)

少し下げれば 涼しくなると

(わかってはいてもきみがさむがってしまう)

わかってはいても 君が寒がってしまう

(そんなきづかいはむだなことらしい)

そんな気遣いは 無駄なことらしい

(ぼくのｔしゃつはあせでびしょぬれだ)

僕のＴシャツは 汗でびしょ濡れだ

(なつのせいじゃない)

夏のせいじゃない

(いっしゅんだけのやすいうちあげはなび)

一瞬だけの安い打ち上げ花火

(ただのわるふざけのようだ)

ただの悪ふざけのようだ

(きみってどうしてはやくねむれるのか)

君ってどうして 早く眠れるのか

(いつもぼくがずっとねがおをみてる)

いつも僕がずっと 寝顔を見てる

(このれんあいのせっていおんど)

この恋愛の設定温度

(きみとぼくはもっといいあったほうがいい)

君と僕はもっと言い合った方がいい

(ひとをあいせばやさしくなって)

人を愛せば やさしくなって

(げんかいいじょうにがまんしてしまうだろう)

限界以上に 我慢してしまうだろう

(そんなあつがりとそんなさむがりが)

そんな暑がりと そんな寒がりが

(いっしょにすむからあいとよべるんだ)

一緒に住むから 愛と呼べるんだ

(そんなきづかいはむだなことらしい)

そんな気遣いは 無駄なことらしい

(ぼくのｔしゃつはあせでびしょぬれだ)

僕のＴシャツは 汗でびしょ濡れだ

(あきはまだとおい)

秋はまだ遠い