ブランコ

(きみのことをごかいしてたんだ)

君のことを誤解してたんだ

(ぼくをしらないっておもってたんだ)

僕を知らないって思ってたんだ

(じゅうぶんきょりをおいたつもりが)

充分　距離を置いたつもりが

(ずっとぼくはみられていたのか)

ずっと僕は見られていたのか…

(ひとつあいたはしっこのぶらんこ)

一つ空いた端っこのブランコ

(かぜのようにぐうぜんすわって)

風のように偶然座って

(こぎはじめてしばらくしてから)

漕ぎ始めてしばらくしてから

(いつもここにいるのねといった)

「いつもここにいるのね」と言った

(ゆらりゆらりゆれてたから)

ゆらりゆらり　揺れてたから

(きみのこえがゆうやけに)

君の声が夕焼けに

(すいこまれてしまいそうだいまぼくも)

吸い込まれてしまいそうだ　今　僕も

(ゆっくりぶらんここぎながら)

ゆっくりブランコ漕ぎながら

(おいつこうとしたよあとすこし)

追いつこうとしたよ　あと少し

(もうこれからは)

もう　これからは

(ことばなんかなにもいらない)

言葉なんか何もいらない

(まえへうしろへぼくらはただそらをおよいだ)

前へ後ろへ　僕らはただ空を泳いだ

(こいについてかんがえたことも)

恋について考えたことも

(きみがいとしいっておもったことも)

君が愛しいって思ったことも

(ちいさなためいきにかえたけど)

小さなため息に変えたけど

(いつかきみとはなしてみたくて)

いつか君と話してみたくて…

(あきのおわりかれはがまうころ)

秋の終わり　枯葉が舞う頃

(かえりみちになんどもとおって)

帰り道に何度も通って

(あのべんちでだれかをまってる)

あのベンチで誰かを待ってる

(きみをいつもとおくでみていた)

君をいつも遠くで見ていた

(なぜかきょうはさみしそうだ)

なぜか今日は　さみしそうだ

(ながいかみがたなびいて)

長い髪がたなびいて

(だれかがえがくでっさんみたいひとりきり)

誰かが描くデッサンみたい　一人きり

(こころはぶらんこのらないまま)

心はブランコ乗らないまま

(あるいているんだねあのみちを)

歩いているんだね　あの道を…

(ほらほしぞらが)

ほら　星空が

(このつまさきのむこうにひろがる)

このつま先の向こうに広がる

(ぼくでいいならこのままいちばんそばにいるから)

僕でいいなら　このまま一番そばにいるから

(もうこれからは)

もう　これからは

(ことばなんかなにもいらない)

言葉なんか何もいらない

(まえへうしろへぼくらはただそらをおよいだ)

前へ後ろへ　僕らはただ空を泳いだ

(いまゆめのなか)

今　夢の中

(じかんのかわがしずかにながれて)

時間の河が静かに流れて

(たったひとつのぶらんこだけがここでゆれてる)

たった一つの　ブランコだけがここで揺れてる