左右の自由
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問題文
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(わたしのつくえのうえで、いちまいのいただったきーぼーどがふたつにわかれた。)
私の机の上で、一枚の板だったキーボードが二つに分かれた。
(それはまるで、ながねんつれそったひとくみのつがいが、)
それはまるで、長年連れ添った一組の番が、
(みずからのいしでじゆうなそらへとびたとうとするかのようだ。)
自らの意志で自由な空へ飛び立とうとするかのようだ。
(きゅうくつにかためていたりょうかたを、ひろく、とおくへとときはなってみる。)
窮屈に固めていた両肩を、広く、遠くへと解き放ってみる。
(むねのおくにしんせんなくうきがながれこみ、こきゅうがふかくしずかになっていく。)
胸の奥に新鮮な空気が流れ込み、呼吸が深く静かになっていく。
(ひだりてはひだりのしまへ、みぎてはみぎのしまへと、それぞれのいばしょをみつける。)
左手は左の島へ、右手は右の島へと、それぞれの居場所を見つける。
(かつてはよりそうようにならんでいたゆびさきたちが、いまは、)
かつては寄り添うように並んでいた指先たちが、今は、
(じぶんだけのこうだいなりょうどをほこらしげにしはいしている。)
自分だけの広大な領土を誇らしげに支配している。
(そのあいだにある「よはく」には、わたしのあたらしいかのうせいがねむっている。)
その間にある「余白」には、私の新しい可能性が眠っている。
(きーをたたくおとは、さゆうからこうごにひびくかろやかなしらべとなった。)
キーを叩く音は、左右から交互に響く軽やかな調べとなった。
(みぎがといかけ、ひだりがこたえる。あるいはひだりがうたい、みぎがまう。)
右が問いかけ、左が答える。あるいは左が歌い、右が舞う。
(このだんぜつはこどくではなく、よりふかいちょうわへのいりぐちなのだ。)
この断絶は孤独ではなく、より深い調和への入り口なのだ。
(ひとつだったころよりも、わたしのことばはもっとじゆうに、とおくへとどく。)
一つだった頃よりも、私の言葉はもっと自由に、遠くへ届く。
(ゆびのうごきとこどうがかさなり、しこうはかそくしてなめらかにながれていく。)
指の動きと鼓動が重なり、思考は加速して滑らかに流れていく。
(どうぐとからだがとけあうしゅんかん、わたしはただ、このりずむにみをゆだねる。)
道具と体が溶け合う瞬間、私はただ、このリズムに身を委ねる。
(ひらかれたうでのあいだに、じぶんだけのしずかなうちゅうがひろがっている。)
開かれた腕の間に、自分だけの静かな宇宙が広がっている。