夕日坂

(かえりみちはゆうひをせにきみのすこしうしろをあるく)

帰り道は夕日を背に君の少し後ろを歩く

(せのたかいきみにあわせ)

背の高い君に合わせ

(いつもほはばがおおきくなる)

いつも歩幅が大きくなる

(このさかをのぼりきってしまったら)

この坂を登りきってしまったら

(もうわかれみちがすぐそこに)

もうわかれ道がすぐそこに

(きみはうつむいて「あとすこしだから」と)

君はうつむいて「あと少しだから」と

(かおもみずわたしにてをさしだす)

顔も見ず私に手を差し出す

(ありふれてるしあわせにこいした)

ありふれてる幸せに恋した

(そんなときがいまもやさしくて)

そんな時が今も優しくて

(ふりかえればそのてがすぐそこに)

振り返ればその手がすぐそこに

(あるようなきがいまもしてる)

あるような気が今もしてる

(いつのまにかきみだけをみていた)

いつの間にか君だけを見ていた

(きみがいればわらっていられた)

君がいれば笑っていられた

(ふれたゆびにつたうこどうさえも)

触れた指に伝う鼓動さえも

(そのすべてがいとしかった)

その全てが愛しかった

(わかれみちでゆびをはなし)

わかれ道で指を離し

(ふたりせをむけてあるきだす)

二人背を向けて歩きだす

(ふとふりかえったさきに)

ふと振り返った先に

(きみのすがたはもうなかった)

君の姿はもうなかった

(きみのはなすこときみのえがくもの)

君の話すこと君の描くもの

(きょうみたけしきをわすれない)

今日見た景色を忘れない

(けどおもうほどになぜだかこわくて)

けど想うほどになぜだか怖くて

(ながいかげのわたしもまたゆらいだ)

長い影の私もまた揺らいだ

(ありふれてるしあわせにこいした)

ありふれてる幸せに恋した

(そんなときがつづくきがしてた)

そんな時が続く気がしてた

(なにもかもがはじめてのおもいで)

何もかもがはじめての思い出

(あすのことさえしらずにいた)

明日のことさえ知らずにいた

(どんなときもきみだけをみていて)

どんな時も君だけをみていて

(きみのためにわらうはずだった)

君のために笑うはずだった

(だけどときのなかにはぐれてゆき)

だけど時の中に逸れてゆき

(きみのてがはなれてしまう)

君の手が離れてしまう

(ありふれてるしあわせにこいした)

ありふれてる幸せに恋した

(そんなときがいまもやさしくて)

そんな時が今も優しくて

(ふりかえればそのてがすぐそこに)

振り返ればその手がすぐそこに

(あるようなきがいまもしてる)

あるような気が今もしてる

(ゆうひをせにながいかげをつれて)

夕日を背に長い影を連れて

(いまひとりでこのさかをのぼる)

今一人でこの坂を上る

(めをとじればだれかをさがしている)

眼を閉じれば誰かを探している

(おさなきひのわたしにであう)

幼き日の私に出会う