蜃気楼 DinDonDan

(ゆがむしせんにはあてもなくぬけがらをゆるすこいごころ)

歪む視線には当ても無く 抜け殻を許す恋心

(ひどくおだやかなせみしぐれみなれたけしきにしんきろう)

酷く穏やかな蟬時雨 見慣れた景色に蜃気楼

(なつのかおりゆれるけしきむしんけいななつのひびき)

夏の香り 揺れる景色 無神経な夏の響き

(めをふさいでしずくひとつおおつぶがはだつたう)

目を塞いで雫ひとつ 大粒が肌伝う

(あのちいさなこかげにもきみのきおくが)

あの小さな木陰にも 君の記憶が

(さわがしいねいろさえもきこえないほど)

騒がしい音色さえも 聞こえないほど

(ふたりしずかにことばえらびぶつかりあえないえごいずむ)

二人静かに言葉選び ぶつかり合えないエゴイズム

(めとめはたしかにであうのにやさしさをそらすしんきろう)

目と目は確かに出会うのに 優しさを逸らす蜃気楼

(あおはおちてあかくそまるなきつかれたわたしがいた)

青は落ちて 紅く染まる 泣き疲れた私がいた

(きみがさったことをさとるじめんはかわいていた)

君が去ったことを悟る 地面は乾いていた

(ふざけあってだきしめたきおくにすがる)

ふざけ合って抱きしめた 記憶にすがる

(こんなのいみがないのにまためうるんで)

こんなの意味がないのに また目潤んで

(ゆがむしせんにはあてもなくぬけがらをゆるすこいごころ)

歪む視線には当ても無く 抜け殻を許す恋心

(ひどくおだやかなせみしぐれみなれたけしきにしんきろう)

酷く穏やかな蟬時雨 見慣れた景色に蜃気楼

(きみいがいのやさしさはにせものになる)

君以外の優しさは 偽物になる

(そんなでぐちなきこいにまぶたがはれて)

そんな出口無き恋に 瞼が腫れて

(あさをむかえて)

朝を迎えて

(いきばのないこのやさしさよよみてふざいのこのことばよ)

行き場のないこの優しさよ 読み手不在のこの言葉よ

(いつわりなきこのいとしさよどうかどうかきえてください)

偽り無きこの愛しさよ どうかどうか消えてください

(とりのこされたこのだいちできみをとおざけていきること)

取り残されたこの大地で 君を遠ざけて生きること

(むせかえるようなねつのなかそのせんたくはつめたすぎた)

むせ返るような熱の中 その選択は冷たすぎた

(ゆがむしせんにはあてもなくぬけがらをゆるすこいごころ)

歪む視線には当ても無く 抜け殻を許す恋心

(わすれられないかなしみごとあいまいにしてよしんきろう)

忘れられない哀しみごと 曖昧にしてよ蜃気楼