心霊写真 -39-
師匠シリーズ
以前cicciさんが更新してくださっていましたが、更新が止まってしまってしまったので、続きを代わりにアップさせていただきます。
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| 順位 | 名前 | スコア | 称号 | 打鍵/秒 | 正誤率 | 時間(秒) | 打鍵数 | ミス | 問題 | 日付 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | Jyo | 6474 | S | 6.6 | 97.9% | 420.1 | 2779 | 59 | 60 | 2026/08/31 |
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問題文
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(「たとえば、わたしにはうっすらとかおだけがみえるれいでも、)
「例えば、わたしには薄っすらと顔だけが見える霊でも、
(このこにはぜんしんが、それもふくのがらまできれいにみえている。)
この子には全身が、それも服の柄まで綺麗に見えている。
(なんびゃくねんもむかしのれいだってそうだ。)
何百年も昔の霊だってそうだ。
(けいねんれっかで、ほとんどしねんもちってうすくなり、)
経年劣化で、ほとんど思念も散って薄くなり、
(もうこのぶっしつてきなせかいとなんのかかわりももてなくなったれい。)
もうこの物質的な世界となんの関わりも持てなくなった霊。
(こちらからみることもふれることもできず、)
こちらから見ることも触れることも出来ず、
(あっちからえいきょうをおよぼすこともできない。)
あっちから影響を及ぶすこともできない。
(そういうそんざいは、もうこのよからきえてしまったのだといってもいいとおもう。)
そういう存在は、もうこの世から消えてしまったのだと言ってもいいと思う。
(でもそういうわたしたちじょうじんのていぎするせかいと、)
でもそういうわたしたち常人の定義する世界と、
(ほんのうすかわいちまいのところにべつのけしきがひろがっているらしい」)
ほんの薄皮一枚のところに別の景色が広がっているらしい」
(じょうじんときたか。あのししょうが。)
常人と来たか。あの師匠が。
(だったらぼくなどなんだというんだ。)
だったら僕などなんだというんだ。
(「このこのげんかいがどこにあるのかしりたくて、)
「この子の限界がどこにあるのか知りたくて、
(みえているものをききとってにがおえをかいたことがあるんだ。)
見えているものを聞き取って似顔絵を描いたことがあるんだ。
(かたっぱしからえがいてると、いるわいるわ・・・・・)
片っ端から描いてると、いるわいるわ・・・・・
(にほんしのじかんでならったようなにほんじんのふるいふくそうのおんぱれーどだ。)
日本史の時間で習ったような日本人の古い服装のオンパレードだ。
(なんびゃくねんどころじゃないぞ。かくじつにならじだいまではさかのぼれる」)
何百年どころじゃないぞ。確実に奈良時代までは遡れる」
(どこまでほんとうなのかわからないが、ししょうはこうふんしたようにそういうのだ。)
どこまで本当なのか分からないが、師匠は興奮したようにそう言うのだ。
(「しかし、こふんじだいのれいはみあたらなかった。)
「しかし、古墳時代の例は見当たらなかった。
(たんにとうじのじんこうがすくないから、)
単に当時の人口が少ないから、
など
(それとそうぐうするがいぜんせいのもんだいなのかもしれないが、)
それと遭遇する蓋然性の問題なのかもしれないが、
(あるいは、そのあたりがこのこのげんかいなのかもしれなかった。でもな」)
あるいは、そのあたりがこの子の限界なのかもしれなかった。でもな」
(ししょうはすこしこえをおとした。)
師匠は少し声を落とした。
(「にがおえのなかに、どきのじだいや、せっきじだいのにんげんらしいすがたもあるんだ。)
「似顔絵の中に、土器の時代や、石器時代の人間らしい姿もあるんだ。
(それがもしただしいなら、こふんじだいのれいだけがすっぽりとぬけおちている)
それがもし正しいなら、古墳時代の霊だけがすっぽりと抜け落ちている
(ことになる。これは、ひじょうにきょうみぶかいことだ。なぜかわかるか」)
ことになる。これは、非常に興味深いことだ。なぜかわかるか」
(「さあ」)
「さあ」
(すなおにかぶりをふった。)
素直にかぶりを振った。
(「よみというしそうのせいだよ。)
「黄泉という思想のせいだよ。
(これはげんだいでいう、いわゆる「あのよ」とはすこしちがう。)
これは現代でいう、いわゆる「あの世」とは少し違う。
(そういう、にくたいからはなれたたましいがたどりつくばしょのことではないんだ。)
そういう、肉体から離れた魂がたどり着く場所のことではないんだ。
(よみはよもつひらさかであしはらのなかつくに、)
黄泉は黄泉平坂(よもつひらさか)で葦原中国(あしはらのなかつくに)、
(つまりにっぽんこくとじつづきでつながっている、もうひとつのせかいなんだ。)
つまり日本国と地続きで繋がっている、もう一つの世界なんだ。
(そこはしょうじゃのすむくにのとなりにある、ししゃのすむくにであり、)
そこは生者の住む国の隣にある、死者の住む国であり、
(しとは、そのいどうのことをさしている。)
死とは、その移動のことを指している。
(つまり、よみというしそうをめんたりてぃとしてもっていたじだいの)
つまり、黄泉という思想をメンタリティとして持っていた時代の
(にほんじんにとって、しとはにくたいをもったままよみへいくことであり、)
日本人にとって、死とは肉体を持ったまま黄泉へ行くことであり、
(このいきるもののせかいにれいだかたましいだかとしてまよう、)
この生きるものの世界に霊だか魂だかとして迷う、
(なんていうはっそうじたいがないんだ」)
なんていう発想自体がないんだ」
(つまであるいざなみをこうせんへむかえにいったいざなぎが、)
妻であるイザナミを黄泉へ迎えにいったイザナギが、
(もしあしはらのなかつくにへ)
もし葦原中国(あしはらのなかつくに)へ
(かのじょをつれだすことにせいこうしていれば、それはにくたいをともなったよみがえりであり、)
彼女を連れ出すことに成功していれば、それは肉体を伴った黄泉返りであり、
(ししゃがしょうじゃのせかいにやってくることは、すなわちしょうじゃになるということだ。)
死者が生者の世界にやってくることは、すなわち生者になるということだ。
(だからゆうれいなんていうあやふやなものはありえない。)
だから幽霊なんていうあやふやなものはありえない。
(ししょうはひみつをあかすようにえんぎがかっていう。)
師匠は秘密を明かすように演技掛かって言う。
(「このこのめでみても、そんなじだいのにんげんのすがたがどこにもみあたらないんだ。)
「この子の目で見ても、そんな時代の人間の姿がどこにも見当たらないんだ。
(おもしろいだろう」)
面白いだろう」
(うれしそうにかたるししょうに、なつおが「けっ」といってみずをさす。)
嬉しそうに語る師匠に、夏雄が「ケッ」と言って水を差す。
(「ようけんをとっととすませろよ」)
「用件をとっとと済ませろよ」
(ししょうにはわるいが、ぼくもこれにはどういだった。)
師匠には悪いが、僕もこれには同意だった。
(きょうみぶかいはなしではあったが、いまはなにしろこんやくじまでにしゃしんのことをしらべて)
興味深い話ではあったが、今は何しろ今夜九時までに写真のことを調べて
(まつうらにほうこくしなければならない。)
松浦に報告しなければならない。
(とけいをみると、ひるのさんじをまわっていた。あとろくじかんか。)
時計を見ると、昼の三時を回っていた。あと六時間か。
(ししょうはわかったよ、というじぇすちゃーをかえしながら、)
師匠は分かったよ、というジェスチャーを返しながら、
(あきちゃんにはなしかける。)
アキちゃんに話しかける。
(「さっきおとうさんのけさをふすまにはさんだのは、おともだちか」)
「さっきお父さんの袈裟を襖に挟んだのは、お友だちか」
(「えー」)
「えー」
(あきちゃんはとなりのなにもないくうかんにむかって、)
アキちゃんは隣のなにもない空間に向かって、
(いたずらっぽいかおでひとさしゆびをくちにたてる。なにかいるらしい。)
イタズラっぽい顔で人差し指を口に立てる。なにかいるらしい。
(しーっ、ということか。もちろんぼくにはまったくなにもみえない。)
シーッ、ということか。もちろん僕には全くなにも見えない。