カロン

(「さあどうぞこちらがめいどほらふねにおのりなさい)

「さあどうぞ　こちらが冥土　ほら　舟にお乗りなさい

(だいきんはいただきましたどうぞおきになさらずに)

代金は頂きました　どうぞお気になさらずに

(ああそうだあなたはしらないひとりになられたんです)

ああそうだ　貴方は知らない　ヒトリになられたんです

(まあいいやそんなことはほらいっしょにうたいましょう」)

まあいいや　そんなことは　ほら　一緒に歌いましょう」

(ゆうげんにひかりははしるぼくのまえできえていくしかいにくらやみおおうここはどこ)

有限に光は走る　僕の前で消えていく　視界に暗闇覆う　ココは何処

(あしあとをさがしてもきせきなんてありはしないほしぞらにまたたいたかがやきにぼくはなれない)

足跡を探しても軌跡なんてありはしない　星空に瞬いた 輝きに僕はなれない

(ゆうなぎへとけてゆくちかいのはなたばをそえていまはただやすらぎをもとめてはひとりたたずむ)

夕凪へ溶けてゆく 誓いの花束を添えて　今はただ安らぎを 求めては一人佇む

(ぼくのこえぼくのいきぼくのおときえてって)

僕の声　僕の息　僕の音　消えてって

(ぼくのゆめぼくのみちぼくのあいくずれてく)

僕の夢　僕の道　僕の愛　崩れてく

(これはだめ？それはいい？あれはなに？どれでしょう)

これはだめ？それはいい？あれはなに？どれでしょう

(ぼくはただそらをまいくちはててかすれてく)

僕はただ空を舞い　朽ち果てて掠れてく

(くうかんのしはいはとおくきおくはもうはるかそこ)

空間の支配は遠く　記憶はもう遙か底

(せかいにひとつだけのこすとしたらなにがいいかな)

世界に一つだけ　残すとしたら何がいいかな

(かろんぼくはゆくんだきみとつれだって)

カロン　僕は行くんだ　君と連れ立って

(かろんなんねんごだろうまたこうしてふたたびあえるのは)

カロン　何年後だろう　またこうして再び逢えるのは

(かろんきみとねがったえいえんのたびはいまめのまえからげんじつにかわる)

カロン　君と願った永遠の旅は今目の前から現実に変わる

(かろんぼくらゆくんだあのそらのはてに)

カロン　僕ら行くんだ　あの宙(そら)の果てに

(もうしんぱいないだろうまたこうしてふたたびあえるから)

もう心配ないだろう　またこうして再び逢えるから

(「そうでしたわすれてましたあなたとわたしはひとつ)

「そうでした　忘れてました　貴方と私は一つ

(いつもとなりにいますどうかおゆるしください)

いつも隣にいます　どうかお許し下さい

(ながいたびじになりますじゅんびはよろしいでしょうか)

長い旅路になります　準備はよろしいでしょうか

(まあいいやそんなものはほらともにむかいましょう」)

まあいいや　そんなものは　ほら　共に向かいましょう」