ひとひらの

(くびにてをかけていきをはきだした)

首に手をかけて　息を吐きだした

(ほほをきるようなこがらし)

頬を切るような凩

(あかくそめられたわたしのてのひら)

紅く染められた　私の掌

(いろをかえてきえた)

色を変えて消えた

(やがてひとみはにごりゆびさきからこぼれる)

やがて瞳は濁り　指先から零れる

(ひとひらのものがたりだけだいてしゅうまつがなる)

ひとひらの　物語だけ抱いて　終末が鳴る

(はながかれたままわかれつげるなら)

花が枯れたまま　別れ告げるなら

(わたしはいまをしるのだろう)

私は今を知るのだろう

(かなしみのつばさかなたへとんだら)

悲しみの翼　彼方へ飛んだら

(さがしにきてひとりせいじゃくのはて)

探しに来て　ひとり　静寂の果て

(さけびごえはこおりついた)

叫び声は凍りついた

(ひとしずくのなみだのよう)

（ひとしずくの　涙のよう）

(あなたのこえくずれおちた)

あなたの声　崩れ落ちた

(ひとかけらのあしたのよう)

（ひとかけらの　明日のよう）

(そしてぼうきゃくのにわこのからだをしずめて)

そして忘却の庭　この躰を沈めて

(ひとひらのゆめにゆれておぼれたくるいさきちる)

ひとひらの　夢に揺れておぼれた　狂い咲き散る

(やわらかなまわたかたてでしめたら)

柔らかな真綿　片手で絞めたら

(わたしはどこへいくのだろう)

私はどこへ行くのだろう

(はかなくきえまたかたちかえたなら)

果敢なく消え　また形変えたなら

(さがしにきてひとりじゅんけつのはて)

探しに来て　ひとり　純潔の果て

(さけびごえはこおりついた)

叫び声は　凍りついた

(つみにぬれるひとみのなか)

（罪に濡れる　瞳のなか）

(あなたのこえくずれおちた)

あなたの声　崩れ落ちた

(うそにぬれるこころのなか)

（嘘に濡れる　心のなか）

(きずあとしずかにのこさずかくして)

傷痕　静かに　残さず　隠して

(すべてをしろくつつみこむひかり)

すべてを　白く　包みこむ　光

(ながれながれるときのなかわたし)

流れ流れる　時のなか私

(それでもえいえんをねがいいのる)

それでも永遠を願い祈る

(どうしてどうしてこぼれるしゅうまつ)

どうして　どうして　零れる　終末

(わたしはどうしてどうしてかなしみ)

私は　どうして　どうして　悲しみ

(せいじゃくぼうきゃくはかなくさきちる)

静寂　忘却　果敢なく　咲き散る

(てにゆきのひとひら)

手に雪のひとひら

(おもいだしてわたしのなを)

思い出して　私の名を

(あなただけがしりえるかこ)

あなただけが知り得る過去

(さけびごえがこおりついて)

叫び声が　凍りついて

(わたしはいまをしるのだろう)

私は今を知るのだろう

(あなたのこえくずれおちた)

あなたの声　崩れ落ちた

(わたしはどこへいくのだろう)

私はどこへ行くのだろう

(いろのないせかいしろくさいたはな)

色のない世界　皚（しろ）く咲いた花

(あなたがしるのだろう)

あなたが知るのだろう