囀りのない部屋

(ここにかぜはない)

ここに風はない

(はねはもうそらにちぎれ)

羽はもう空に千切れ

(さびたままのかご)

錆びたままの籠（かご）

(いまのきもちですか)

今の気持ちですか

(いつもそばにいて)

いつもそばにいて

(ねむらせてくれたうでに)

眠らせてくれた腕に

(のぞいちゃいけない)

覗いちゃいけない

(まんげきょうのひとみ)

万華鏡の瞳

(しあわせのためにだけ)

幸せのためにだけ

(うたうことできるのに)

歌うことできるのに

(ひとりではこえがふるえて)

ひとりでは声が震えて

(わすれられそうで)

忘れられそうで

(なみだのとげすくえない)

涙の棘　救えない

(さえずりがきこえてるなら)

囀りが聴こえてるなら

(わたしをつかまえて)

私をつかまえて

(すぐにそのゆびさきにのせて)

すぐに　その指先に乗せて

(のせて)

乗せて

(ひびにつつまれた)

罅（ひび）に包まれた

(がらすのみずぶえのよう)

硝子の水笛のよう

(かれたくちばしは)

涸れた嘴（くちばし）は

(ふるびたうたばかり)

古びた歌ばかり

(とざされたせかいでも)

閉ざされた世界でも

(あいはまだいきられる)

愛はまだ生きられる

(ふたりにはなにがだいじか)

二人にはなにが大事か

(あなたならわかる)

あなたならわかる

(なみだのとげすくえない)

涙の棘　救えない

(さえずりがきこえてるなら)

囀りが聴こえてるなら

(こころをつかまえて)

心をつかまえて

(すぐにこのさみしさにふれて)

すぐに　このさみしさにふれて

(ふれて)

ふれて

(もどりたいあのころに)

戻りたい　あの頃に

(あのほほえみに)

あの微笑みに

(だれもちかづけないところ)

誰も近づけないところ

(きおくのすがある)

記憶の巣がある

(なみだのとげすくえない)

涙の棘　救えない

(さえずりがきこえてるなら)

囀りが聴こえてるなら

(わたしをつかまえて)

私をつかまえて

(すぐにわたしをだきしめて)

すぐに私を抱きしめて

(こごえてしまいそう)

凍えて　しまいそう

(くらやみにきづいてるなら)

暗闇に気づいてるなら

(こころをつかまえて)

心をつかまえて

(すぐにこのかなしみにふれて)

すぐに　この悲しみにふれて

(ふれて)

ふれて