ハートビート・クロックタワー

(とけいとうのはぐるまのおと)

時計塔の　歯車の音

(それはかのじょがいきているあかし)

それは彼女が生きている証

(このびょうしんがとまらぬように)

この秒針が止まらぬように

(みまもるのがぼくのやくめ)

見守るのが「僕」の役目

(かつてのしゅじんぶつよくのけしん)

かつての主人　物欲の化身

(みずからのつみはいつのひか)

自らの罪は　いつの日か

(おのれじしんをほろぼすのだと)

おのれ自身を滅ぼすのだと

(どうしてはやくきづけなかったか)

どうして早く気付けなかったか

(かのじょのはんしんにいまものこる)

彼女の半身に今も残る

(みにくいやけどのあとは)

醜い火傷の跡は

(あのふたりのおもいでをきざんでる)

あの二人の思い出を刻んでる

(きょうもまたまよいこんだ)

今日もまた　迷い込んだ

(なにもしらぬあわれなほうもんしゃ)

何も知らぬ哀れな訪問者

(かれらもすぐはかばのあるじの)

彼らもすぐ「墓場の主」の

(いぶくろにおさまることだろう)

胃袋に収まることだろう

(しゅやくきどりのあのおんなのこ)

主役気取りの　あの「女の子」

(いつもどおりのわがままざんまい)

いつも通りのわがまま三昧

(かたわれをうしなったさみしさ)

「片割れ」を失ったさみしさ

(すこしかおにやどしながら)

少し顔に宿しながら

(こどくなおとこがそのしのまぎわにつくりあげた)

孤独な男がその死の間際に作り上げた

(もりのおくのちいさなえいがかん)

森の奥の小さな映画館

(わすれさられたそのときになりはじめた)

忘れ去られたその時に鳴り始めた

(ぜんまいじかけのこもりうた)

ぜんまい仕掛けの子守唄

(ちぞめのはさみ)

「血染めの鋏」

(ししょくのかたな)

「紫色（ししょく）の刀」

(いまだめざめぬかれらをまつひび)

いまだ目覚めぬ彼らを待つ日々

(すべてのうたがかたられたときに)

全ての唄が語られたときに

(ゆーとぴあはかんせいするらしい)

理想郷（ユートピア）は完成するらしい

(とけいのはりがとまることは)

時計の針が　止まることは

(かのじょじしんのおわりをいみする)

彼女自身の終わりを意味する

(さびついてかけたはぐるまたち)

錆ついて欠けた歯車達

(のこされたじかんはながくない)

残された時間は長くない

(こどくなおとこがそのしのまぎわにつくりあげた)

孤独な男がその死の間際に作り上げた

(もりのおくのちいさなえいがかん)

森の奥の小さな映画館

(かんちょうをつとめるのはかれがもっともあいした)

館長を務めるのは彼が最も愛した

(ぜんまいじかけのにんぎょう)

「ぜんまい仕掛けの人形」

(かくごはきめた)

覚悟は決めた

(ぼくはみずからのひだりむねに)

僕は自らの左胸に

(そっとてをあてふかくさしこんだ)

そっと手を当て深く差しこんだ…

(ぼくのぜんまいはとけいとうのはぐるまと)

僕のぜんまいは時計塔の歯車と

(ひびきあってそしてあらたにはじまるものがたり)

響き合って　そして新たに始まる物語

(とけいのはりがとまらぬように)

時計の針が止まらぬように

(まわりつづけるのがぼくのやくめ)

廻り続けるのが僕の役目