梨の花

(あいしてもあいしても)

愛しても愛しても

(きみはかれないなしのはな)

君は枯れない梨の花

(いなかでんしゃにゆられたころは)

田舎電車に揺られた頃は

(きせつさえねすごした)

季節さえ寝過ごした

(ないたりわらったりもないがゆえ)

泣いたり笑ったりもないが故

(ぼくはのにさくとうばなだから)

僕は野に咲くトウバナだから

(ひなたにうかぶきみを)

日なたに浮かぶ君を

(みてみぬふりするのがやっとだぜ)

見て見ぬ振りするのがやっとだぜ

(きみのよこがおにあからむまいにちが)

君の横顔に赤らむ毎日が

(ふとよみがえるかえりみち)

ふと甦る帰り道

(あいしてもあいしても)

愛しても愛しても

(きみはかれないなしのはな)

君は枯れない梨の花

(どうしてもどうしても)

どうしてもどうしても

(てのとどかないはるを)

手の届かない春を

(ぼくにもきみにも)

僕にも君にも

(いつもさいしょのかどをまがればすがたをけしたきみは)

いつも最初の角を曲がれば姿を消した君は

(とっぴょうしもないことばっかして)

突拍子もないことばっかして

(りょうてぽっけですましたぼくはへたなくちぶえふいて)

両手ポッケですました僕は下手な口笛吹いて

(しわくちゃのすがおをごまかして)

しわくちゃの素顔を誤魔化して

(そのてをのばせばふれられたはずなのに)

その手を伸ばせば触れられたはずなのに

(またけしてしまうんだな)

また消してしまうんだな

(あいしてもあいしても)

愛しても愛しても

(きみはかれないなしのはな)

君は枯れない梨の花

(どうしてもどうしても)

どうしてもどうしても

(てのとどかないはるよおもいよ)

手の届かない春よ想いよ

(きみにとどけ)

君に届け

(かすむはずないまっしろのはなはことしもさいてた)

かすむはずない真っ白の花は今年も咲いてた

(ぼくのなにもかもをうばってもへいきなかおしてる)

僕の何もかもを奪っても平気な顔してる

(あいしてもあいしても)

愛しても愛しても

(きみはかれないなしのはな)

君は枯れない梨の花

(どうしてもどうしても)

どうしてもどうしても

(てのとどかないなしのはな)

手の届かない梨の花

(あいしてもあいしても)

愛しても愛しても

(きみはかれないなしのはな)

君は枯れない梨の花

(どうしてもどうしても)

どうしてもどうしても

(てのとどかない)

手の届かない

(あのひのおもいはかれない)

あの日の想いは枯れない