一ツ眼リッパー事件

(あきのおわりはだざむいつうがくろ)

秋の終わり肌寒い通学路

(わらいふざけあうさんにんのおともだち)

笑いふざけ合う三人のお友達

(わかれひとりきりろじうらで)

別れ一人きり　路地裏で

(しょうじょそこでみたひとつめのさつじんき)

少女そこで見た　一ツ眼の殺人鬼

(めをさますとしろいかべびょういんで)

目を覚ますと　白い壁病院で

(すぐにかけよったふたりのおとこのこ)

すぐに駆け寄った二人の男の子

(きみとおなじようにきりさかれしんじゃったひとがもうふたりもいるんだよ)

「君と同じように切り裂かれ死んじゃった人がもう2人もいるんだよ」

(はんにんはだれ)

「犯人は誰？」

(いきのこったしょうじょは)

生き残った少女は

(おもいだせない)

「思い出せない」

(おぼえてるのはひとつ)

憶えてるのはひとつ

(ああひとつめりっぱーすこしだけ)

ああ　一ツ眼リッパー？　少しだけ

(のうりにうかぶのあのこのえがおが)

脳裏に浮かぶのあの子の笑顔が

(ちのつながらないおとうとが)

血のつながらない弟が

(すこしまえからおかしくなったこと)

少し前からおかしくなったこと

(ぼくだけのねえさん)

『僕だけの姉さん』

(かれはとてもおくびょうなおとこのこ)

彼はとても臆病な男の子

(だけどほんとうはやさしいひとなのに)

だけど本当は優しい人なのに

(いつからかしょうじょはおびえてた)

いつからか少女は怯えてた

(あねにしゅうちゃくするいじょうなおとうとに)

姉に執着する異常な弟に

(ひがいしゃはみんな)

被害者は皆

(しょうじょのしるおとこのこ)

少女の知る男の子

(どこにいたって)

どこに居たって

(あとをつけられている)

後をつけられている

(ああひとつめりっぱーおびえてる)

ああ　一ツ眼リッパー？　怯えてる

(あのこはかならずわたしをころすよ)

「あの子は必ず私を殺すよ」

(それならずっとそばにいるよ)

「それならずっと傍に居るよ」

(きょうふをのみこみてをとるともだち)

恐怖を飲み込み手を取る友達

(ぼくがまもってみせる)

『僕が守ってみせる』

(ああでもねそれがほんとうならさ)

ああ　でもねそれが本当ならさ

(わたしがあのこをただしてあげなきゃ)

「私があの子を正してあげなきゃ」

(きょうだいふたりでろじうらを)

姉弟二人で路地裏を

(あるいたさきにちだまりがひとつ)

歩いた先に血だまりが一つ

(ねえおかしいのよだってほら)

ねえおかしいのよだってほら

(このこはいままでわたしとふたりで)

この子は今まで私と二人で

(ひとつめりっぱーわらってる)

一つ眼リッパー笑ってる

(ほんとのはんにんは)

「本当の犯人は？」

(なあだからいっただろそばにいる)

「なあ　だから言っただろ“傍に居る”」

(ゆらりとわらったそのかおしってる)

ゆらりと笑ったその顔知ってる

(そばにいるからほかのやつは)

「傍に居るから　他の奴は

(ころさないとまたよってくるだろ)

殺さないとまた寄って来るだろ？」

(あねをかばってちがまいちる)

姉を庇って血が舞い散る

(なきさけぶしょうじょみおろすかれのめ)

泣き叫ぶ少女見下ろす彼の眼

(しょうきのさたではないとしる)

正気の沙汰ではないと知る

(これからはずっとふたりでいられる)

「これからはずっと二人で居られる」

(それはだれのはっぴーえんど)

それは誰のハッピーエンド？