曇天

(ゆうやみのなかそふぁでだきあう)

夕闇の中　ソファで抱き合う

(でんきをけせばまどわくがどんてんせかいをきりとる)

電気を消せば　窓枠が　曇天世界を切り取る

(ゆめがさめてせなかにさわると)

夢が醒めて　背中にさわると

(きょうのそらのような)

今日の空のような

(そこのみえないくもりがかったひとみをしていたの)

底の見えない曇りがかった瞳をしていたの

(わたしをうつさないあなたをずっと)

わたしを映さないあなたをずっと

(みないようにしていたのにな)

見ないようにしていたのにな

(けせらせらのおまじないあのひとをしんじたいけれど)

ケセラセラのおまじない　あの人を信じたいけれど

(つなぎあわせてほつれたゆびさきがかじかんできた)

繋ぎあわせてほつれた　指先がかじかんできた

(ねえけせらせらら)

ねえ　ケセラセララ

(ほねばったひざにねころんでみていた)

骨張った膝に　寝ころんで観ていた

(あなたのすきなじゅんすいでたいくつなえいがも)

あなたの好きな　純粋で退屈な映画も

(ぜんぶわかってあげられるきがしてた)

全部わかってあげられる気がしてた

(このよでいちばんやさしいばしょだったのにな)

この世でいちばん　優しい場所だったのにな

(けせらせらのおまじないあのひとをしんじたいけれど)

ケセラセラのおまじない　あの人を信じたいけれど

(はじめてわたしたわたしをせいしゅんにとじこめないで)

初めて渡した私を　青春に綴じこめないで

(ねえけせらせらら)

ねえ　ケセラセララ

(ぽけっとにいれたままのことばをひろげてみたけれど)

ポケットに入れたままの　言葉をひろげてみたけれど

(すぐににせものときづいてえきのごみばこにすてた)

すぐに偽物と気づいて　駅のゴミ箱に棄てた

(けせらせらのおまじないあのひとをしんじたいけれど)

ケセラセラのおまじない　あの人を信じたいけれど

(あなたはわたしをうつさない)

あなたは私を映さない

(どんてんのむこうには)

曇天の向こうには

(けせらせらら)

ケセラセララ